海で・・ 1013
と、思いながらも…ちょっとハラハラしてしまう…
父さんがあのソファーの上で寛いでいるからだ…
これがあかりさんだったら一発で分かっちゃうんだろうけど、父さんは案外鈍感だ…
まあ自分の家のリビングで、自分の息子が今さっきまで歳上の女性とセックスしていたなんて、夢にも思わないだろうけどね;…
こうして数日間は父さんと2人での生活。
母さんが入院したりしたこともあったから珍しいものでもない。
僕は学校帰りにスーパーやコンビニに寄ったり、父さんが帰宅した後に外食に行ったり…そんなように過ごしていた。
ある日の昼休み、屋上でお昼を食べていると、父さんからメールが来た。
あかりさんが無事女の子を出産した、という内容だった。
「どうしたの?…ニヤケた顔して、何かいい知らせでも来たのぉかなぁ?…」
僕の顔を見て横にいる唯が首を傾げる。
「ああ、女の子だってさぁ。僕に妹が出来たんだぁ」
僕は唯が作ってきてくれたおにぎりを嬉しそうに頬ばった。
「ふえっ!?一馬のご両親、すごいんだね」
「どういう意味で驚かれたかわかんないけど…ちょっと事情がね」
「ああ…新しいお母さんだっけ?一馬のお家も複雑だよね」
「まあ…でも嬉しいことだよ。家族が増えるんだから」
唯は自分のぶんのおにぎりを頬張りながら微笑む。
今日は購買でヤキソバパンでも買おうと思っていた時に、唯に声を掛けられた。
弁当が食べきれないから、一緒に食べてと誘われた訳だ…
「それにしてもいっぱい作ってきたね〜、これって小野寺徹の為に持ってきたんだろ?…」
「アイツの名前は出さないで!…もう別れるって決めたんだから…」
おっと;…
また喧嘩したってことだな;…