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海で・・
官能リレー小説 - 年上

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海で・・ 101



…そのまま眠り続けてどれくらいの時間が経っただろう。
目が覚めたときには、窓の外は真っ暗だった。

慌てて服を着直し、下の階に降りる。
リビングもキッチンも静けさに包まれていた。
ダイニングのテーブルには僕の分の夕食が置かれていて、一緒にお袋の書き置きが置いてあった。

『受験お疲れ様。よく頑張ったね。ご飯とおかずは、食べるときに温めてね』

そう言えば今日から入院すると言っていたのを思い出した。
そんな日に疲れマラのせいで不貞腐れた態度を取って、挙げ句それを静めることもなく居眠りし、見送りもしなかったことが後悔された。

(悪りぃーお袋・・)
一馬はお袋特性のコロッケをパクリと頬張った。


温め直したものとはいえ、お袋の手料理だ。
当然、美味しかった。
僕はお袋に感謝しながら夕食を完食した。

親父もすでに帰ってきて、もう寝てしまったのだろう。
そういえば、受験勉強中はお袋もそうだが、ろくに喋らなかったな…

ふと思い出したことがあった。
まあ、本当ならどうでもいいことなんだけど。
部屋に財布を取りに行き、親父が起きないようにそっと家を出た。

向かったのは近所のコンビニ。
週刊の漫画雑誌とお菓子を買って店を出る。
するとそこに
「あ、一馬くん、久しぶりだね」
声をかけてきたのは、由佳里さんだった。

「あ、由佳里さん・・」
僕の顏は自然に赤らみ、その声は上擦った。
幾つになっても、どんなに女性との経験を積んでも、初恋の相手である由佳里さんはいつまでも僕のマドンナなのだ。

「元気〜?どう受験の方は?」
「あ、今日試験日だったんです。」
「そう、それは大変だったはね。秀人も日本にいれば受験生だったのにね・・」
「電話ありましたよ。励ましてもらいました。」
「あの子の励ましなんて、役に立たないんじゃない?」
「そんなこと無いです。あの電話が無かったら僕・・押しつぶされていたかもしれない・・」

受験の緊張感が解けたからなのか、それとも久しぶり由佳里さんに会えたからなのか、突然に込み上げるものがあり、鼻がツーンと白んだ。

え?と言う顏で由佳里さんは僕の顏を見た。
そして「何かあったの?」と、僕の肩に手を置いた。

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