君が好き。 5
これは汗なんかじゃないよな;…
童貞とはいえ、そういう知識だけはちゃんと持っていた;…
「あっ…それじゃあ…風呂場に行きましょう…」
俺は目のやり場に困り、二人に背を向けて先にバスルームに移動する…
「クスッ思った以上にかわいいはね…これからが楽しみだはぁ…」
そんな唯の言葉は、樹までは届いていなかった…
「水着で入れるのね」
「そうみたいですね」
唯さんが着ていたパーカーを脱ぐ。
さっきから唯さんの黒のビキニも気になっていた…とても似合っていてセクシーだったからだ。
バスルームは広大だった。
真ん中に巨大なジャグジー。まるで公衆施設のようで、個室にあるものとは思えなかった。
「ふふっ、期待通りね♪」
唯さんについていこうとすると、隣に並んだ栞さんがそっと手を握ってきた。
うわぁあ〜
期待していたこととはいえ、これだけで気持ちは舞い上がってしまう…
何たって女の人とこうして手を繋ぐことですら何年かぶりだった…
「クスッ…樹くんって真面目なのねぇ…」
俺の照れ具合を察知したんだろう;…
栞さんが笑顔を向けてきた…
「ほらほら、広いよ〜、樹くんも栞もこっち来なよ〜」
唯さんはいち早くジャグジーの中に身を沈めていた。
「気持ちいい〜」
「温かいね〜」
ホント、幸せな気分だ。
「樹くんを選んで正解かも。向こうの隼人くんってお坊ちゃまよね?」
「まあ、そうですけど」
「樹くんってスレてない、素朴な感じの子で、タイプなのかも」
唯さんが笑う。
まあそれを言ったら隼人だってスレてはいないけど、イケメンの容姿からいって素朴な感じはしないよな…
「俺って“普通”な感じってよく言われるんですよね;…勉強の方だって平均だし…見た目だってこんなだし;…」
「あらぁそうなの?…平均サイズかどうかは…ちゃんとこの目で見ないと分からないはぁ…」
ふへぇ?…平均サイズって?…