君が好き。 21
こんなに胃腸が弱いとは思わなかった。
すぐ近くにトイレがあって良かった。駆け込んで出せるものは出してしまう。
「大丈夫?」
「はい。お弁当にしましょうか」
おかげで食事できるくらいにはなった。
栞さんが可愛らしい弁当箱を出す。
「うわぉ…凄いじゃないですかぁ!」
「ふふ、そう言って貰えてよかったぁ〜、夕べクックパッドと獲得して作ったんだよ〜…」
そ、そうなんだ…
腹の調子が良くなってホントよかった…
ここまで準備してくれたお弁当を、食べない訳にはいかないもんね…
「どれから食べる?」
「じゃあ…唐揚げをもらおうかなぁ…」
「ふふ、自信作だよ、それじゃ、あ〜んして〜」
えっ!それもですか…この歳でそれはちょっときついけど…
「あ、あ〜ん…」
口を開くと唐揚げがその中に…おぉ、う、美味い!!
「すごく美味しいです栞さん、お店で食べるのとも変わらないような…」
「ふふっ、頑張って作った甲斐があったなぁ♪」
そうして俺はほとんど手を使わずに弁当を平らげる…
「めちゃ旨かったすよ…なんか一人で食べちゃってすみません;…」
「ううん…そんなこと気にしないで…、美味しそうに食べもらって、私はそれだけでお腹いっぱいになったんだからぁ…」
最後の卵焼きは栞さんに。
それにしても美味しかった。食欲が回復してホントに良かった。
お弁当の後は手をつないで園内を回る。
絶叫マシン巡りではなく、比較的落ち着いたものを中心に。
そして
「樹くん、そろそろ、アレ行こうか」
栞さんは観覧車を指さした。