君が好き。 19
30分くらい電車に揺られ、目的の遊園地に到着する。
「ふふっ、久しぶりだなぁ」
「ここ、前にも来たことあるんです?」
「唯ちゃんたちとね。でも、今度は彼氏と、ね」
「彼氏って…俺…」
「私、本気だよ?」
「あ、ありがとう…ございます;…」
いきなりの告白にちょっと焦る;…
なんたって女の人に告られるなんて、俺にとっては初めての経験だからね;…
「彼氏とあれに載るのが、長年の夢だったんだぁ…」
栞さんの視線の先…
世間でも有名な、ジャンボ観覧車がドンと構えていた…
「改めて見るとすごいっすね…」
噂に聞いた国内最大級クラス。
「あれは一番最後にとっておくね」
「いいんですか?」
「樹くんと一緒に楽しめるんだもん!」
また俺の腕を取る栞さん。
年上なのにどこか子供っぽい顔も覗かせて、ますます俺は栞さんに惚れてしまう。
周りを見渡すと案外家族連れが多い。若いママさんも結構いて、一昔前のおばさんよりも綺麗でスタイルもいい。
「ねえ、今あの女の人見てなかった?」
「違うよ、ああやって家族三人で遊園地に来たことないんだ。親父はあまり家族サービスが好きじゃなかったし。それより、ゲームコーナーに行く?プリクラあるよ、きっと」
「ゲームコーナーってゲーセンみたいな場所でしょ?樹くん、ずっと出てこないんじゃない?」
「今日は乗り物がメインさ、他はおまけみたいなもの。なんか祭みたいな露店もあるし」
「なんでコスプレの衣装とか売ってるの?」
「制服もあるよ、安いし買ってみよう」
「本当ね」
さっきのプリクラ発言もあったし、チープながらセーラー服が売ってたので、買うことにした。早速トイレで栞さんに着替えてもらった。
町中では頼めないけど、遊園地でデートという雰囲気の勝利だ。コスプレ用だけあってなにげにスカートも短い。
「恥ずかしいは…樹くんってこういうのが好きなの?…」
はい…大好きですけど;…なにか?…
「いや、そういう訳じゃないけど…栞さんを身近に感じたくて…」
ちょっと苦しい言い訳かな?;…
「そうかぁ…樹くんにとっては私なんか…おばさんの年齢だもんね;…」