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うちのクラスの【千年さん】
官能リレー小説 - 学園物

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うちのクラスの【千年さん】 8

「素敵だね」
「そうでしょ?何があってもお互いを想いあうのが、とても素敵。憧れちゃう」
「僕もだよ」

鶴木さんと、そうなりたいな。と言いたかったけれど、まだその言葉は心の奥に置いておく。
目を輝かせて話す鶴木さんが、おそらくその作品以上に素敵だということも。
だから、僕はこう言った。

「鶴木さん、僕も何か素敵な作品を読みたい。何かお勧めなのがあったら、教えてください」
「読んでみたい?うーん、そうね…」

鶴木さんがちょっと見上げるようなしぐさをして、考え込んでいる。
「それじゃあ、放課後、亀山くんも一緒に図書館で…そうしてくれたら、おすすめの本とか紹介できると思うな」
「ありがとう。その時は声かけてくれたら嬉しい」
「うん。本の良さ、亀山くんにも知ってもらえたら、私も嬉しいな」
鶴木さんがニッコリ、可愛らしい笑顔を見せた。
夕日がバックになって、とても印象的で、写真に撮っておきたくなった光景だった。


そのまま校門を出て、僕達は駅へ向かって歩いていた。
駅前商店街…というより、学生街的な趣のある道。スイーツショップもあれば、お弁当屋さんもある。昔ながらの、でも結構大き目な本屋さんもあって、出版不況の中健闘しているみたいだ。

「ねえ、ちょっと寄っていかない?」
「うん、いいね」

その本屋さんへ、鶴木さんに誘われた。
外観も風情ある建物だけど、店の中も雰囲気がいい。
いくつもの本棚が立ち並び、ジャンルも細かく区分けさせられてて、何時間でも潰せそうな感じがする。

「よく来るとこなの?」
「うん。デパートとかに入ってる大きな本屋さんもいいけど、こういうお店でしか手に入らないみたいな本って結構あるんだよ」
鶴木さんの表情が生き生きしている。本当に本が大好きなんだな。

「この小説もお勧めでね。あっ、でもその……」
一冊の文庫本を見せてくれた鶴木さん。ただ、ちょっと表情が変わった。

「何かあるの?」
「これは、ちょっとエッチな………」


「ちょっとエッチ…?」
「恋愛ものなんだけど、その…そういうシーンも込みで二人が深く愛し合う…」

本のタイトルを見ると、「隠れ咲く華」とあった。

「見ていいかな」
「どうぞ……」

やっぱり恥ずかしいみたいで、ゆっくりと差し出された文庫本を、僕は手にして開いてみた。
何ページか読み進めている僕を、鶴木さんは不安そうに見ていた。
やっぱり、エッチな娘だと思われたくはないのだろう。それでも良作だからと出してくれる彼女の気持ちが、とても嬉しい。
内容はというと、ある青年と修道女の秘密の恋愛の話のようだ。

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