「そうだ、私も仲間に入れてくれるなら考えてあげても良いわよ」
「ちょっ、美乃梨先生？！」
「それって冬馬くんとエッチさせろって事ですか？」

若干言葉が硬くなる未羽ちゃん。

「貴女が本妻で私は二番手、愛人枠で良いわよ」
「美乃梨先生？！」

慌てる僕に対して耳元で囁く美乃梨先生。

「大丈夫よ。貴方にゾッコンのこの娘が他の女の存在を許すとは思えないわ。それにこれで私に馬鹿なおねだりをする事も無くなるでしょう？」

更に囁きは続く。

「彼女が私に警戒心、苦手意識を持てば此処には近付かなくだろうから少なくとも私は騒動に巻き込まれなくなるわ」

今後、未羽ちゃんの騒動に巻き込まれない為の対策らしい。

「う、うーん……そ、そうだなー……」

深く悩み始めた未羽ちゃん。
あっさり拒否するかと思ったら、どうも予想と違う方向に進みだしたような気がする。
美乃梨先生が焦ってる気がする。

「冬馬くんは私の…でも、冬馬くんすごいから私だけじゃあ……うぅーん」

「ちょっ、この娘割と本気で悩んでない？どうするのよ」
「知りませんよ、先生が勝手に言い出したんじゃないですか」
「いや、そうだけれども……」
「普通に強い態度で説教すれば良かったんですよ。無茶言ってるのは未羽ちゃんの方だし先生の方が立場上なんだから」

想定外の事態にこそっと僕に話しかける美乃梨先生。変に小細工を弄するからおかしな事になるんだよ。

「分かりました。この話をお受けします。ですのでそちらも便宜を図って下さいね」
「何言ってるの未羽ちゃん？！」
「貴女正気？！」
「プラス要素とマイナス要素を比較したら有りだと思うので」
「未羽ちゃん、美乃梨先生の冗談を間に受けないでよ！」
「そうよ！確かにもう一回位お相手したいなあとは思ってたけど流石に私達の立場って物があるわよ」
「…………もう一回位って何ですか？」

よっぽど焦ってたのか余計な事を漏らしてしまった美乃梨先生。完全に顔が引き攣っている。

「詳しいお話を聞かせて頂けますか？」

笑顔ながら目が笑ってない未羽ちゃんに僕と美乃梨先生は洗いざらい白状させられる事になったのだった。


「なるほど。わかりました。冬馬くんの悩みを解決するために先生が一肌脱いだわけですね」
「その通り」
「ならば、先生は私の恩人でもあるかもしれないわけです」
「そうなのかしら」
「冬馬くんが先生とセックスして童貞を卒業したことで私とのセックスでもテンパらずに、あんなに激しくしてくれてメロメロになっちゃうくらい屈服させてくれたんですから。ありがとうございます」

未羽ちゃんはやっぱりなんかぶっ飛んでいた。

「まあ、そう言われるのも、悪くはない、かな」
「先生の伝手を使って冬馬くんのハーレムを作っても構いませんですよ」
「み、未羽ちゃん！？」
「今のところ私が冬馬くんに差し出せるのは姉と妹くらいしか「ま、待って待って待って」」

どこまで本気なんだ。

「勝手に姉や妹を他所の男に差し出さないでよ！」
「そもそも恋人に何人も他の女をあてがってどうするのよ？」
「正直私一人では冬馬くんの全てを受けきり満足させてあげるのは難しいのではと思いまして。それに生理や妊娠でお相手が不可能な時も有ります。で、一人加えるなら何人でも大差無いかなと」

「いや、未羽ちゃん一人でもヤバいのにお姉さんと妹さんにまで手を出したらそれこそ御両親に殺されても文句言えないよ！」
「まあ大丈夫だと思うよ。寧ろ面白がるんじゃないかな？当人達の反応次第では感謝されるかも」
「どういう一家なのよ鶴木一家って？」
「どういうって私の親姉妹ですよ」
「つまり貴女同様にぶっ飛んでる人達なのね」

失礼ながら全く同じ感想です。

「と、兎に角！さっきの話は冗談だから忘れて頂戴」
「それこそ冗談ですよね？教職員の身で有りながら生徒に手を出した千葉美乃梨さん」
「……」
「昨日は未遂とはいえ女子生徒に手を出そうとした体育教師。そして、つい先日男子生徒に手を出した養護教諭。不祥事連発で大騒ぎですね」

美乃梨先生は白旗を上げるしか無かった。