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うちのクラスの【千年さん】
官能リレー小説 - 学園物

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うちのクラスの【千年さん】 33

弁当は確かに美味しかった。それに憧れだった未羽ちゃんが僕の為にわざわざ手作り弁当を持参してくれた。未羽ちゃんは幸せオーラ全開で途中からアーンを始める有様。これは紛れも無くなく幸福な事であり天国とも言える空間だろう。

………………此処が二人きりであったならば。

周りは混沌としていた。女子達の好奇に満ちた視線や男子達の混乱、憧憬、怨嗟の篭った視線。特にアーンが始まった瞬間男子の視線は殆どが殺意に満ち溢れていた。実に居心地が悪かったけど彼等を責める事は出来ない。未羽ちゃんが自分で使っていた箸を躊躇いもなく僕に使って、それを躊躇いもなく自分にも使う。挙句の果てに私にも食べさせてとおねだりするときた。そんな光景を見せられたら僕だって彼等と同様の反応だったろう。

その後も周りからの多数の質問に澱みなく答えていく未羽ちゃん。

付き合い始めたのはつい最近。私がアタックした。冬馬くんにゾッコン。なんてものから。

彼の敵は私の敵。冬馬くんに何かあったら私は死ぬしかないよ、なんて物騒なもの。更には、

両親には報告済み。家に連れて来て合わせる様に言われてる。私も近々冬馬くんの御両親に挨拶しないとね。

なんて僕も知らない間に話を進めてる事までハッキリと言い切る未羽ちゃんに男子達は不満を口にする事が出来ず僕にも特に不平不満を言ってくる輩はいなかった。

勿論、僕等のいない裏ではボロクソだろうけどね。

「はぁ」
「どうしたの冬馬くん、気に入らない奴がいたら私が」
「イヤそう言うわけじゃないんだよね」

嬉しい反面とっても困った。未羽ちゃんと校内公認カップルになれた代償はかなりのモノだ。

「ふふふ、みんなすごくお祝いしてくれたよ」
「うん、よかったよかった」
「な、なんか棒読みっぽいけどホント大丈夫?」

これ以上僕にハマらせると未羽ちゃんの将来が心配になってくる。
とはいえ、そんなことを相談できる人は……美乃梨先生くらいしかいない。

とは言え、不用意に美乃梨先生に近づくのも考え物だ。未羽ちゃんの前にあの人と関係を持ってた事がバレたら洒落にならない。未羽ちゃんは勿論、他の生徒達にバレたらそれこそ全校生徒から袋叩きだろう。

そもそも未羽ちゃんを始め誰にも見られずに相談に行く事自体が不可能に近い。普通に体調不良で保健室に行くのは可能だけど今迄の地味で目立たなかった時とは違い全校生徒から注目されている以上、誰かしらに見聞きされる確率は高いので疑われる行動は可能な限り避けたい。

もし美乃梨先生が関係を持った人物が生徒、職員を問わず、僕以外にもいた場合その人物に察知されたら変な噂が広まりかねない。

今の僕の状況は、誰から見ても「幸せ者のぜいたくな悩み」としか見てもらえないだろう。実際誰が見たってそう思うだろう。

幸いというべきなのか、美乃梨先生とはあの初体験の後に連絡先を交換している。

『好きな人に力を使い過ぎて大変なことになってしまいました。これからの付き合い方とか、何かアドバイスをくださるとうれしいんですが…』

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