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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 99

「え〜…佐原?佐伯?佐渡?佐久間?違うな?ん〜と!」
辛うじて原型を留めた生徒手帳らしきモノ…青年はコンマ数秒単位の虐殺の中、ヒーロー学生の物だと視認していた。

「佐…佐…佐ナニガシ?血塗れで名前も読めないけど?この子も退屈人生脱出したかったんだ!何か夢見てたんだ!嗚呼可哀想に!」
劇団口調で天を仰ぐ青年も場合によっては…姿を見られたからには消す…と言う腹積もりだった訳で、心中で舌を出していた。

「ひょいと。」
阿修羅の如き連撃を凌ぎ、未だ覚めやらぬ血風の中からナマクラと化した愛刀を拾い上げる。

「俺には生涯手前という!」
刀身も鍔もヒシャげ柄巻きもザンバラな刀を青年は軽く一振り。

「強え味方が有ったんだなぁ?」
木目にも似たダマスカス調の刀身が、いや拵えまでもが寸分違わず再生したではないか!

鋼の刀剣は多少歪んでも数打物とて叩けば治る、銘刀ならば捨て置いても粘りで戻る…しかし物理法則の外にある能力者対応鋼材にしても、こうは行くまい。

少年にしてみれば妖刀の正体にも、戯言の数々にも興味はなかった。
「本気を出させて貰う。」
「君の『お姉さん』は、もうちょっと、お行儀良かったかな。」

今度は青年の言葉を聞き流し、六本のマフラーを一本にまとめフワリと風に流し、残りの二本を腕に巻きつけると正拳突きを撃つような構えをとった。
「『玉繭之型』か」
少年の構えを見た青年が刀を構え呟いた。
「…来い」
少年の言葉にニッと笑うと一気に距離を詰める。
「『壱式十二閃』!!」
青年の姿が消え、少年の左後ろに忽然と現れ一閃をいれようとした瞬間、風に流れていたマフラーが刀を弾いた。
「シュッ!!」
刀を弾いたマフラーの遠心力を利用したうえで、足を強く踏み込むと青年の水月にマフラーによって強化された拳を突き立てた。
少年の拳に肋骨をへし折る感触と音が届く。
血を撒き散らしながら青年が吹っ飛び近くにあった木に叩きつけられた。
「…どうだ糞野郎、ねぇさんが編み出した奥義の味は」
少年が吹っ飛んだ青年に吐き捨てる。
「やっと終わった…ねぇさん、みんな、仇はとったぞ…」
そう呟いた時だった、青年がゆっくりと立ち上がった。
「なっ…」
少年の目に信じられない光景が映る。
青年が怪我をしていないのだ。
たしかに肋骨を折った、血を吐いた、だが目の前の青年は怪我どころか服にしわもよっていないのだ。
「いや〜さすが『玉繭之型』、壱式すら見切るとは」
青年が服を叩きホコリを落とす仕草をしながら刀を拾い上げた。
言葉を失う少年に青年が軽く笑いかける。
「でもやっぱり君の姉さんの方が強かったよ。あの時は胸に穴が空いたし」

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