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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 108

時末イヴ…繰糸(佐藤)やA組スパイとはまた別口で中等部に潜入する彼女は偽造IDを無言で提示した。
『松永達美・PK・ESP合計ランクE』
青年らの仲間内でも日は浅いのだが、無論その程度の筈もない。

「三ヶ月後イジメにブチ切れて、能力暴走の演技、反省室経由の特別科編入、だね?」

彼女が無機質なロボ声で確認を取る通り、先のイタズラも入学早々目を付けられた女生徒という偽装…いきなりAランク以上認定では目立ち過ぎる故の情報操作だ。

まず時末はガラの悪い女生徒を捕まえ陰湿なイジメっ子の演技を強要した。

怨恨による急激な能力覚醒とイジメの報復に見せ掛け口封じに消す…という筋書。
そうした事件も後々の『歴史』に影響を及ぼす要素なのだろう。

先にも青年が軽く述べた通り、繰糸や時末に限らず既に生徒職員各方面、様々なケースで工作員を潜り込ませてあった。

「あぁ…特別科でも手頃な協力者を捕まえて『それらしく』振る舞ってね?」
「うん、わかった。」
それらしく…常に多少の片寄った特徴を持て…という事だ。
判を捺したような地味キャラ、反対に顔の広すぎる者、潜入工作員として無能な部類だ。

学生なら部活なり委員会なりの所属、仲良しグループや喧嘩相手…そんな平凡さが要求される。

「いいね、三日後でも三年後でもなく、三ヶ月後に特別科編入枠が…。」

青年の意図は、歴史上の石ころ一つさえ計算したかの様な『番狂わせ』なのか。
そんな彼に相槌を打っていた時末が、大人を小馬鹿にする様な笑みを浮かべた。

「ばかなの?氏ぬの?何度も同じ説明…。」

時末の毒舌が斬り飛ばされ、やや遅れた流血の噴水…銀林と霞屋には一瞬そう見えたが『無かった事』としてリセットされていた。

違うのは時末が真剣に青年の説明を聞く様になったぐらいだ。

「…既に何名かの同志が命を落としている、気をつけてね?」

軽々しく本来の能力を使えば正体の露見に繋がる故、特に普通科へ潜入する者の束縛は多い。
そのハンデは敵勢力の妨害どころか校舎裏の喧嘩一つさえ命取りとなる…かといって引き籠りでは工作員の意味がない。

その他、計画全体の障害となれば青年の側で、やはり『無かった事』として始末される。

「うん、わかった。」
「よろしい…そろそろ役所巡りの繰糸くんも含めて他の面子も揃う頃…かな?」


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