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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 96


場所は変わって学園の西側
東側から攻めてくるファントムに手一杯なのか驚くほど静かである。
そんななか突然、刀を帯びた青年が現れた。
「流石赤人、いい腕してる」
そう言うと辺りを見渡す。
「さぁ出てきなさいな、ファントム諸君。少し、僕と遊んでくださいな」
青年の言葉に反応したのか、物陰から奇襲をかけようとしていたファントムがワラワラと出てきた。
雑木林の中、中隊規模で屑鉄と化した74式戦車(自衛隊旧正式…学園コピー生産)を踏み越えて来るファントム一個小隊、計二十体。

カスタマイズ仕様が二体。
魔剣仕様の大太刀を装備した白兵チューン、当然能力者基準の剣技をインストール済。
もう一体の射撃戦チューンは重火器全般に加えプラズマ兵器。
残りは両腕の超合金鉤爪に5.7mm機銃内蔵の標準型…所謂量産ファントムとは言え平均的能力者と同等の肉体機能、正規の一般兵相当の連携。

概ね橘理人レベルの能力者が十全のコンディションならば、十秒ペースで片付く編成。
そう、十全ならば。

橘理人を始めとしたエース級は軒並み消耗、ロクな休養もなく騙し騙し戦っている現状、今泉姉妹に至っては瀕死の重傷だ。

対するファントム側には陸海空の物量支援。
超音速機を護衛に付けた地上攻撃機が連日の空爆、巡航ミサイルを含めた艦砲射撃、制空権と制海権は絶望的…量産ファントムと戦車を主軸とした制圧部隊を凌ぐゲリラ戦法も限界だ。

平均的な戦闘型能力者一名に対し、常人の武装兵士十名という戦力比なぞ…とうに上回っているのだ。

「学園バトル…てゆーか『学生』相手に、オトナ気無いねっ?」

青年が小粋に肩をすくめ、話が通じるとも解らないヒトガタ兵器一個小隊相手に、説教を始める姿は滑稽とも呼べた。

「古いマンガの台詞で『戦争なんざライフルと銃剣ぐらいで止めきゃ良かったんだ』って…合ってるかな?」

参考までに、言語自体は理解する、ジョークは通じないし興味もなさそうだが。

「それから苦〜い表情で飛行機を見上げるシーンがある訳さ!コ〇クピットだっけ?エリ○88かな?あぁ少年マンガなんて読まない?」

いや…この青年の物言いはファントムの軍勢を操る『誰か』に向けてのジョークとも受け取れる…。

「さて、冗談も言ったとこだし」
青年が刀に手をかける。
空気が張り詰める。
「遊ぼうか」
その言葉と同時に刀を抜き放つ。
木目調の刀身が現れると同時に澄んだ音が辺りに響き渡った。
音がファントム達の聴覚を通じ脳に届くと同時に、感情がないはずのファントム達に『斬られた』という感覚が広がり一瞬動きが止まったのだ。

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