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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 10

「煙草はやめろ、リィナ」
「や〜だね。アンタとの会話と煙草が私の楽しみなんだから。怪我は?」
「……していない」
彼女、リィナ・アロンはこのベースキャンプの医療チーフ。まだ、大学を出たばかりの23歳だが、腕は確かだった。
彼女がここに来た理由は両親だった。難民キャンプで医療活動をしていた両親について来たのだ。
だが、その難民キャンプは政府軍の不当な攻撃で壊滅、リィナは両親を失った。
唯一の生存者だった彼女を救ったのが理人であり、以来彼女はここにいついてしまった。
「あ、こらケガしてんじゃない。ひじんとこ」
見ると擦りむいたのか少し皮膚が破けて血が滲んでいた
「たいした傷じゃない」
理人が答えると煙草をくわえたまま額を小突く
「バ〜カ、こういうケガが一番怖いんだから、雑菌でも入って変に化膿でもしたらそれこそ一大事なんだから」
そう言うと手慣れたように傷口を消毒しガーゼ当てテープで固定した
「はい、できた。まぁこのくらいのケガで良かった良かった」
煙草をくわえたまま笑った
「治療、感謝する」
リィナの言葉に少し戸惑ったように理人が呟いた
「あんたねぇ…もうちょっと可愛げのあるお礼言えない訳?『キレイな美人女医さんありがとう。あなた様がいなかったらボクチンしんじゃってたよぅ』とかさぁ〜」
「…」
リィナの冗談に表情ひとつ変えない理人
「ま、無理かねぇ。まだ」
片肘ついてため息をつくとケガをした兵士が一人入ってきた
「…患者がきたようだ。リィナ、また明日」
「はいはい、また明日」
ひらひらと手を振るリィナを背中にテントを理人はテントを出た
外に出ると夜空には幾千幾万の星が輝いていた。この星空だけ見ているとここが戦場だということがまるで嘘のように感じる
「…」
理人がそんな星空を見上げていた時だった
「『心無くした青龍子、取り戻させるは異国の宝、されど宝は奪われる、己の心と引き替えに、宝奪うは鋼の戦士、力も意志も心も勝てぬ、されど挑むは青龍子』、さて」
耳にいや頭に直接響くような詩が聞こえた
理人の両手に握られた拳銃が気配の主を的確に捉える
「…何者だ」
「小生は果心、ただ標を導くだけの者ザンス」
妖しげな青年を拳銃が捉えたと同時に気配が後ろに移る
「さてさて、心無くした青龍子、鋼の戦士に挑む前に立ちふさがる焔の黒鬼に君は勝てるかな?」
瞬転、果心の額に銃弾が撃ち込まれた
「…」
が、果心の姿がかき消える
「ひっどい事するザンスねぇ、人がせっかく『標』を詠んであげたのに、まぁいいザンス、それでは青龍子バイビ〜」
ケラケラ笑うと心地よい下駄の音が響いた
そしてしばらくして下駄の音も止んだ

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