香港国際学園〜外伝〜 89
痴女集団に包囲されていた少年を拾って来た浅倉おろち(外伝四部)。
身元確認の為、並べられた彼の所持品の中から、まだ新しい…しかし戦闘で傷だらけの身分証をつまみ上げた。
「神樹天地、噂の新入生かい?」
身分証には、能力の一部封印により特別科から普通科に『天下り』した記録…。
しかし並の能力者の持たざるカリスマと愛らしい容貌で、中等部の始業式前から既に痴女のターゲットだという…。
組長おろち姐さん、おかまの子分E子は無論の事。
ソノ気の無い…他の子分や、堅物の若頭ヨージ兄ィまでもが怖気をふるう美しさ…。
そして彼の得物、正体不明の木刀である。
今の所、羅紗織りの刀袋に収まったそいつは、側にあるだけで『魔剣でござい』と覇気を放つ。
この怖い物知らずのヤクザ学生達でさえ、あらためて手に取る事を躊躇う業物。
事情どうあれ特別科から降格された連中にロクな奴は居ない…というのが普通科生徒の見解、関わりたくない子分達がどよめく。
やわらかやくざの
こころはひとつ
いきのびたい
いきのびたい
「あほ、お前ら空気読め?」
と、ヨージ兄ィが…それとなく姐さんを示し、子分らを諭す…。
(兄者ーッ!!)
当のおろち姐さん、処女喪失のチャンスにオマタをモジモジさせながら脳内会議、彼女の頭上で天使と悪魔が…
『『犯ッチマイナ!!』』
…と拳を突き上げている。
「な?」
こうなったら止まらない姐さん、もうみんな『用事を思い出す』しかないのである。
ミカジメだキリトリだと、我先に事務所から飛び出す浅倉組組員。
(退却ー!!)
邪魔が消えて、おろち姐さんご満悦。