PiPi's World 投稿小説

香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 85
 87
の最後へ

香港国際学園〜外伝〜 87

「…すまない。助けておいて勝手に他人に引き渡すのは心苦しいのだがな。我輩はまず、これまでの業の清算をしなければならない。それに葬送機関は大規模で、しかも他民族組織である。君達の安全を考えれば…」
「やだ!置いてかないでよ!ママもパパも私を置いていった。一人にしないでよ!」
「…一人ではない。ラミもいるし、これから友達や仲間もできる。学校にだって通えるしな…」
「それでも…」
「頼む…」
玄人はユンハに向かって頭を下げる。
「う〜…」
スウェンはそんな玄人とユンハを見ながらラミに話しかける。
「…あなたはよろしいのです?」
「ええ…寂しくないってのは嘘ですけどね。それでも男の子を引き止めるほど野暮じゃありませんよ…」
「大人…ですね。」
「いいえ。ただもう、二度と会えないわけじゃないですし…それに会える気がするんです。私は運命を感じるロマンチストですからね♪」
「運命…ねぇ。」
スウェンは知っていた。運命すら簡単に打ち崩す能力者がいることを…
ユンハは玄人に頭を下げられては引くしかなく、うるうると涙目で別れを告げていた。
「また…会える?」
「ああ…」
「本当に?絶対だよっ?」
「ああ…絶対だ。それに能力者同士は引き合うらしいしな…」
「うん♪私のファーストキスをあげたんだからね?」
「だから我輩も…」
「ちょっと待ちなさいっ!ファーストキスって何よ?いつしたのっ!?」
玄人とユンハの会話にラミが乱入する。
(あっ、そこは反応するですか………やっぱり、さっきの大人うんぬんの話しは訂正しときましょうかね…)
スウェンの心の声は当然ながら誰にも聞えなかった。
「へへへっ…さっき♪」
「さっき…ってあのビルの中で?私が寝てた時にっ!?」
「うん、そうだよ♪」
ユンハは一歩先を行った優越感なのかニンマリと笑う。
「くっ…」
「だから…我輩も初めてだと言ってるだろうに…」
「は、初めて同士!それって…」
「だから…あぁ、もういいであろう?我輩は去るぞ…」
「あっ…待って!」
ラミは玄人の首に手を回すと唇を合わせる。
「「おぉ…」」
葬送機関の子供達は凝視する。
「ユリー、見て…」
「あっ…ユ、ユリーは見てないもん!今のはリューがね…」
そんな中、当然の様に二十秒ほどのキスを終える。
「ふふっ…今のが、玄人のセカンドキッス♪」
「む、むぅ…」
玄人は顔を真っ赤に染め、唸る。
「ラミさん!ずるい!抜駆けなんてっ!」
「うふ…悪いわね♪」
今度はラミがにやける。
「ス、スウェン殿…我輩はこれで失礼する。」
「そうですか。残念です…あなたも葬送機関に加わって貰いたかったのですがね…」
「すまんな。だが二人をよろしく頼む…」
「はい。ではお気をつけて。」
スウェンは玄人の手を堅く握る。
玄人はラミとユンハに別れを告げると装甲車に乗り、エンジンをかけた。
「玄人!身体に気をつけてね!」
「次に会う時はすんごい美女になってるから!」

SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す