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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 85

「ならば…」
「んぅ!…ふうぅ……」
ユンハの小さな唇へと己のものを深々と重ね合わせる。
そして人工呼吸の要領で呼気を通して、氣を送る。十数秒と口付けを交わした。
「んっ…あぁ…」
放れる玄人の唇を名残惜しそうに声をあげるユンハ。だが、すでに声から色情は消えていた。
「何…したの?」
「君の中にあの男の生霊が潜んで、悪さをしていたのでな。我輩の氣で追っ払ったのだよ…」
「……ファーストキスだったのに…」
「我輩もだよ…しかし、口付けされなかったのか?」
玄人はユンハを固定する手錠を能力で砕きながら話す。
「うん…そいつ、キスも挿入も正常なことは何もしなかった。変な道具で身体をいじくり回されて…」
ユンハは身震いをする。
「ほう…なるほど、偏執狂であるな…」
「でもされてる時は…なんだか……」
ユンハは解放された部位を擦りながら涙ぐむ。
「まぁ、しかたなかろう。相手は高位能力者である。抗えんよ…」
「うえぇぇ……」
ユンハは玄人の胸に顔を埋める。玄人は優しく受け止め、しばらくそのままでいる。
三十秒ほどで泣きやむとユンハは玄人が近くのクローゼットから取り出した白衣に腕を通す。
「では行くか。ここにもすぐに葬送機関の兵隊が来る。奴等は識別信号のない者への敵味方を区別せんからな…」
そう言い、扉の前に待っていたラミを担ごうとすると…
「うぅん…」
「起きたか…」
「玄人…ユンハも、無事だったのね…」
「ええ、玄人君に助けてもらったんだ。」
「そう…あっ、玄人…その……さっきのはね…」
「ふむ…何かあったかな?」
「えっ?でも…」
「何もなかった…それでよかろう?」
「………ええ、ありがとう…玄人。」
「でも…どうやって外に出るの?下階は制圧されちゃってるだろうし…」
「ふははっ。戦利品を使うとするか…空間系移動能力、テレポ〜ト!」
「「テレポート?」」
「Yes!思い浮かべた場所への空間移動!敵から奪ったのだが少々、練習したらコツを掴んでな。では、息を止めて目を瞑りたまえ…」
玄人はラミとユンハの手を握ると、先ほど装甲車を止めた場所を思い浮かべ、能力を発動させる。
一瞬、三人は水中を漂う感覚に見回された後…




「もう、大丈夫である」
二人が目を開けると、そこには軍用装甲車と緑の草原という、ミスマッチな情景が目に入った。
「すごいわ…」
「助かったんだね!」
喜び、手を取り合う二人。
「ついでに言うと、二人が捕まっていたのはあそこであるがな…」
玄人は装甲車の具合を確めながら指差す方向には、各部から火の手があがるビルが見えた。
「では…後ろに乗りたまえ。待ち合わせがある」




玄人は葬送機関との連絡で待ち合わせ場所を決めていた。制圧地点から西に二十キロ、進んだ無人の教会である。

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