香港国際学園〜外伝〜 82
「っ!!」
そこには精液と涙でぐちゃぐちゃな顔で眠る少女がいた。
「ラミ…ラミッ!」
ラミを揺り起こす玄人。
「…んん〜……あっ、玄人。あははっ…夢か……」
「夢ではない。遅れてすまなかった。もっと早く来ていれば…」
「いいの…でも、でもね…私、ダメなの…まだ子供の玄人を見ても……疼くの。汚れちゃったの!」
「分かった。分かったから…もう、しゃべるな…」
ラミは誘うように唇を舐める。
「玄人…ヤってもいいのよ…ねぇ…お願い……」
「くっ…すまない」
玄人は掌でラミの額の前にあてがうと気を送り、気絶させる。
ラミをかつぎ、ふと心の聞き耳を立てる玄人。
丁度真上のフロアから口汚い罵声に紛れ、おざなりな秘匿回線を通した念話(テレパシー)が聞こえてきた…。
『裏の見張りから定時連絡がねえな?』
『言ったろ?常人なんざ汎用機銃百挺並べたって役にタタねえって?』
『だがこうして鳴子の役割程度は果たしてくれた…』
『侵入者だな…』
『ああ。下階から報告は無いな。ったく下階の奴等はそろって居眠りでもしてんのか?』
『ふん…所詮Bランク共に期待なんかしちゃいねぇ…』
『侵入者は…七階のお偉いさんとこか……四階の調教室だな…』
『ああ…七階は入るなって言われてるし調教室に行くぞ…』
念話と共に階段を降りる足音が聞えた。
(……二人、いや、三人か……)
玄人はラミを部屋の中央に寝かせると、入口近くの天井へ引力操作で張り付く。
たったったっ…バンッ!
ドアが乱暴に開き、予想通り三人の男が入って来た。
「………誰もいな…いぃ!?」
ダンッとワルサー大阿門カスタムの銃音と共に三人の中で最初に入った男は絶命した。
「「っ!」」
そこは戦闘訓練を受けた能力者。
警戒しつつも仲間の屍を飛び越え、調教室へと入る。部屋の四方に視線を巡らす男達。
ふと、一人が天井へと目を向けた瞬間…
グシャリ…
玄人の空中蹴りで顎を砕かれ、気絶した。
最後の一人がやっと大阿門を視界に入れる。
「ガ、ガキだと…ぐっ…」
男は胸部へと体当たりをもらい、肋骨を四、五本を折られて卒倒した。
「ふぅ…高能力者、三人と正面から戦うほど驕ってはいない…か」
玄人は顎を蹴った男と肋骨を折った男に手を当てると抜き取る様な動作をし能力を強奪する。
「ふむ…グローリーとインフェルノ……風と炎か。初めてにしては申し分ない。ただ難点は死亡者には使えん事だな。さて…」
玄人は顎を砕いた男の頬を数度はたく。
「っ…ぃ!……ぐぁう…」
下顎を砕かれた為、上手く喋れない男に玄人は問う。
「あの娘に加え後、何人が生き残っている?喋れないだろうから瞬きで答えろ…」