香港国際学園〜外伝〜 61
バイザー越しの逆卵型アニメ顔に、真摯な瞳を輝かせるの少女がいた。
「始めまして!円城寺さんですね?…新入生、風紀委員見習い、南田美波です!」
身なりこそコスプレとしか思えないが、その瞳に確固たる信念を感じた円城寺は一言断りを入れ隣に乗り込む。
「直ぐに医務室へ…。」
心配そうな瞳を潤ませる美波を、切長の視線で制する。
「私が帰り次第会議だと聞いてないのかね?」
「しかし…。」
心配無用…使命感で苦痛を堪える。
「この学園の秩序を取り戻す為…一刻も早く風紀委員の再編成を行わねばならん。」
…ずぎゅーん!!…
「えうぅっ!?」
傷をかばいつつ断言する円城寺の漢な魂が、メタルスーツをもブチ抜き乙女のハートを射抜く!!
「私を学園の晒し者にする気か!南田ぁ!!」
…どぎゅーん!!…
「はうぁっ!?」
吐血しながらも叫ぶ円城寺の漢な魂が(以下略)!!
「あ…済まない私とした事が少々熱くなってしまったようだ…ん?頭から湯気が出ているが大丈夫かね?」
…ぶぉん!…
「だ…大丈夫れひゃう…飛ばひまふょお!?」
法と秩序に情熱を燃やす、クールでオトナな円城寺に既にメロメロな美波…。
…『地球に来て』初日からこんな使命に燃える男性と御近づきになれるとは…
美波もまた花丸と同じく具現化能力の使い手…しかしサイドカーを具現化した事を少々後悔していた。
…た…タンデムなら…背中に円城寺さんの胸板…腰に腕が…お尻に…お・お・おち…ん…
ぶばぁ!!
「どうした!大丈夫かっ!?」
純な乙女の妄想がバイザーを朱に染めた。
「…先輩ぁ辛い時はぁ…わらひも辛いんれひゃう!?」
「ありがとう…南田くん!!」
…ぎゅいい…ぷぎゅ…
誰か通行人(影井)を撥ねた気もするが…とにかく疾走る。
その学園の平和への1ページを窓から見下ろしていた雪菜はこう言った…。
「コレって…デパートの屋上でよくあるアレかなんかですか?」
それはそれとして…風紀委員の再編成…良識派が中心ながら、自警団を名乗り暴挙の限りを尽していた者の一部と和解。
やり方こそ間違っていたが…学園の平和への願いは同じ。
モヤシ君曰く…このまま引き下がっては犠牲者達に申し訳が立たぬ…と。
弱きを助け強きをくじく正統派番長グループ(浅倉組、メロンパンの先輩など)にも協力を仰ぎ(それなりに)治安回復へと向かっていった…。
まぁ…実際には、桜川光樹らが高等部から入学するまでの約三年をかけた地道〜…な活動。
時たま皆で仲良くチャンバラドンパチする平和な時代まではまだまだ…。
雪菜は表の騒ぎが収まった所で、着崩れた浴衣テキトーに(借り物にも関わらず)脱ぎ散らかし制服に着替えた。
無論、脇差と拳銃も忘れず携帯した上で…ハードなレズプレイで全員爆睡しているサラの部屋を後にした…。
理由は簡単、性が満たされたら今度は暴力だ。
また難癖つけるチンピラ学生を正当防衛の範囲でぷちのめす…根がいぢめっ子だから仕方ない。