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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 60

今の混乱に巻き込まれながらも花丸の戦いを見守っていた…風紀委員(良識派)中等部二年、円城寺一馬だった…。

花丸、斜め45度カメラ目線。
「ハラヒライダー龍牙…とでも名乗っておこう…。」
「ふむ、平原花丸君か…覚えておこう。」
花丸の名札を覗き込む円城寺。
「暴力は好かん、しかしあれだけの人数…死人も出さずに大したモノだ。」

花丸は円城寺の態度にブゼンとしながらも、スクーターに跨ったまま何かを拾い上げる。
「腕っ節は兎も角…命乞いもせず逃げ出しもせず理想を説く…それがアンタの正義か?」

「たとえこの私が倒れようとも…生き残った良識派、他の誰かが継いでくれよう。」
円城寺はフニャフニャになった伊達眼鏡…レンズこそ砕けてしまったが、形状記憶フレームのそれを見付けポケットに納めながら答えた。

「道は違えど…正義の為に命を掛けるか…。」
「君の様に子供染みた倫理感で正義という言葉を振り回す気は…。」
花丸が言葉を遮る様にちちち、と指をかざし円城寺に何かを握らせる。

「これは…?」
磨き上げられた真鍮細工…殉職?したモヤシ君から剥がれ落ちたか、風紀委員長と刻まれた記章であった。

狐に抓まれた様な表情の円城寺に花丸が問う。
「アンタ…名前は?」
「名乗り遅れて申し訳ない…中等部二年風紀委員、円城寺一馬だ。」

姿勢を正し改めて一礼する円城寺に、花丸は満足気な笑みを浮かべた。

「じゃあ今日から…中等部二年風紀委員長、円城寺一馬だ!!」
「君にその決定権が…。」
「任せたぜ!風紀委員長!!」

…ぎゅるる…ぶぃいいいんっ…
ホイルスピンと巻き上がる砂塵を残し、爆音と共に走り去る花丸…。

「…出鱈目な男だ…。」
溜め息混じりに独りごちる円城寺もまた、踵を返し歩み去る…。

花丸の言う通り…形は違えど、混乱期の香港国際学園に正義を掲げる二人の漢の奇妙な出会いであった…。

「憎しみを〜写し出す〜鏡なんて壊すほど〜♪
…む!?絹を裂くような乙女の悲鳴!!邪魔だ邪魔だぁ!どけどけどけぇい(ぶぃん)!!」
片や持ち前の情熱と偏った(お子ちゃまな)倫理感で立ち塞がる全てを打ち砕く…無器用でも夢に向かう男、平原花丸…。


歩きながら携帯電話で風紀委員(良識派)に連絡を取る円城寺。
『円城寺さんっ!ご無事で!!』
電話の向こうから切迫した声。

「うむ、問題ない。」

円城寺の無事の知らせ、間を置いて安堵のざわめきと喚声が聞こえて来た。

「至急…風紀委員臨時会議を開く…私が戻るまでに準備をしておいてくれたまえ。」
『はいっ!…聞いた通りだ急げ!…失礼。
新入生の…南田を迎えに寄越します!!』

「うむ、わかった。」
携帯をしまう円城寺。

数刻と待たず…流線型のサイバーなデザインのサイドカーが横付けされた…。

「君が…南田くんかね?」
流石に冷静沈着な円城寺も唖然となった…。
12歳のロリータ体型も露なメタルスーツ…どこぞの防衛隊的なヘルメット…。

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