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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 58

間を置いて…ひしゃげた円城寺の眼鏡が芝生に転がる。
殴り慣れていないのか、指を揉むモヤシ君に構わず円城寺は続けた。

「権力がどうこうといった件…さっきと少々発言内容が違うようだが…?」
「うるさいっ!貴様の様にヌルい思想の持ち主が風紀委員を腐らせるのだ!!」
青白い顔を赤黒く染めて、度量の小ささをアピールするモヤシ君。

「風紀委員会は正義の代弁者!結果を出せば理事長だってご理解下さる!!」
「人の心を善きに導くに権力も武力も要らん筈…理事長はこんな暴挙は望んでおらんよ。」

モヤシ君=悪、円城寺=善なのは明白だが…綺麗事が通じる程お気楽な学園ではない。
勝ち誇ったモヤシ君が(恐らく強化能力を併用したであろう)拳を円城寺のミゾオチに叩き込む。
内臓をやられたか、激しく吐血する彼だったが毅然とした瞳は輝きを失わない。
「最後に望みがあれば…可能な範囲で聞いてやろう。」
憎々しげな最後通告に、円城寺は目線で彼の足元を示す。

「眼鏡を拾ってくれまいか?」
「断る。」
ぐしゃ、めきっ…モヤシ君は眼鏡を踏みにじりながら銃殺隊の元に戻る。

「射撃用意!!」
号令と共に風紀委員長…モヤシ君がミスリル銀のサーベルを掲げる。
金属質な作動音と共に六挺のライフルが次々撃発状態となり、泣き叫ぶ犠牲者達との不協和音をかもし出した。
他人事…助ける義理もない…と雪菜が窓を閉めようとしたその時…。

「待て待て待てぇいっ!!」
…ぶぃいいいん…
ボサボサ頭なびかせて、紅い龍をモチーフにしたスクーターに跨る少年。

ぎゅいっ!とターンをキメて立ち塞がる。
スクーターが光と共に四散…少年の手元に龍のカードとなって吸い込まれた。

「君は…新入生かね…?」

モヤシ君が怪訝な顔でねめまわす…名札には平原花丸とあった。

「うるせえ、ひょっとこ。」
花丸の返答に、今まで泣き叫んでいた(円城寺除く)受刑者らの間に爆笑が起こる…銃殺隊も必死で笑いを堪えていた。
びきびきとモヤシ君のコメカミが引き吊る。

「無帽(ノーヘル)に無免許運転…今すぐ土下座するなら鞭打ち百回で…。」
「あん?具現化能力は道交法やら銃刀法やら適用外って…生徒手帳の校則のページに書いてあったぞ?お前…風紀委員の癖にそんな事も知らねぇのか?」

更に爆笑…とても処刑場とは思えぬ空気。

「能力の使用に関する校則…第二条の補足四章だよ委員長。」
更に爆笑の渦…銃殺隊や他の自警団員も困り果てている中で円城寺はさらり言ってのけた。

モヤシ君のひょっとこ顔が文字通り『火男(風呂焚きの意)』顔に歪む。

気にした様子もなく花丸がふんふんとうなづいた。
「ようし解った…アイツが良い風紀委員でお前が悪い風紀委員だな?」

「君は何一つわかっていない…この学園のルールを身を持って知って貰おうか…。」
口の減らない花丸に…モヤシ君の表情が般若の様なそれに変わり…サーベルの切っ先が彼を示す。

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