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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 57

結果は見えている…と量子は雪菜に寂し気な、尚且つどーでも良さ気な表情を見せながら障子を閉めた…。

少年は死神の鎌…いや、着剣した旧式ライフルに腹を深くえぐられ、妻の名を呼びながらこと切れていた…。

反り血に塗れた死神は…何事もなかったかの様に、ライフルから外した銃剣を拭い鞘に納めると、ライフルを背負い直しその場を後にする。
「あ〜…。」

また一夜…香港の夜が更ける…。

…ざわざわ…
…朝…何か煩いので…窓の外を見ると…そこは処刑場だった…。

『自警団』による『粛清』であった。

対象は不良グループを始めに…傭兵、用心棒、賞金稼ぎ、娼婦といった『夜の住人』…あるいは何処の組織にも決して頭を下げない強気な平和主義者。
中庭の様相は…さながら軍事政権の後進国の、朝のニュースを思わせた…。

先日、雪菜の元に訪れた自警団の連中…大半が『公元主姫』の高等部卒業により、彼女の管理下を離れた風紀委員であった。

不良生徒の一掃という正義の御旗の元にやりたい放題の連中だ。

『謎の爆発』以前の風紀委員には、軍警察並の権限が与えられていたが…一応の警備員(例えそれが校長の私兵でも)導入により、通常の学生としての風紀委員に戻された。

…筈であった…
しかし大量に備品として残った(隠匿されていた)軍用銃、魔法剣の類そして能力にモノを言わせ…不良グループと大差ない歯止めの効かぬ武力集団として活動していた。

時たま見せしめに敵対する者や協力を拒む者を粛清しているのだ…。

この場のリーダーは先日、雪菜の元に訪れた生徒の先輩格…彼女流に表現すれば、権力の犬といった所か…。
「き〇がいが…。」
窓辺に身を預けながら毒付く雪菜。
昨夜もまたビアンで濃厚な4P…気だるい寝起き。

「たとえ我々は!この学園における警察組織としての権限を奪われたとて!生徒の平和な(以下略)…。」
青白いひょっとこ顔…突き出した唇から、大量の唾液を撒き散らしつつ自警団の正義を主張、熱弁するモヤシ君…。
英雄じみた身振りの度に剣帯に佩いた指揮官サーベル…量産型ミスリル剣がぷらぷら揺れた。
取り囲む自警団に喚声が上がり…大杭に縛り上げられた犠牲者達に、銃殺隊の89式ライフルが睨みを利かせる…。
母国語で祈りを捧げる国籍不明な不良少年、訳も分からず泣き叫ぶ娼婦の少女など計六名。
その中で一人…明らかに他とは違う毛色の持ち主がいた。
中等部二年…怜悧かつ知性を匂わせる秀麗な面立ち…痣で腫れ上がった瞼の下に、切長の瞳が輝いている。

「いいザマだな円城寺?ええ?」
風紀委員長の記章を着けたモヤシ君がイヤラしい笑いと共に歩み寄り顔を覗き込む。

「貴方がたは何ひとつわかっていな…。」
がつっ!
円城寺と呼ばれた生徒を、モヤシ君が拳で遮った。

「黙れ!風紀委員には絶対的権力が必要なのだ!!」

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