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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 56

「この学園じゃ、いい避妊薬がタダで転がってるし、誰でも持ってるんだけど…あの娘達は避妊できなかったり、無理矢理生まされたり…馬鹿みたいに夢見て生んだけど男に捨てられたり……オムツとミルク代の為に躯を売る母親なのよ…まだ中学生なのにね…」
「香港は…焼肉定食なセカイなのデス…弱いとアアなるのデス…」
「さーぽん、弱肉強食だよ〜ん…慣れない四字熟語使うもんじゃないのよ〜ん」
サラのズレた言葉を含めて何となくここが理解できてきた雪菜…

「あっちは多分、父親の方かね…大抵理由は女だ。」
量子が指差す先。
路地裏ではヒョロっとした細面…服装こそチャラチャラしているがアウトローとは無縁であろう少年。
蒼ざめた表情で、チンピラじみた生徒から.22口径の安ピストル…サタデーナイトスペシャルと『標的』の顔写真と資料らしきモノを受け取っていた…。

養育費か中絶費…或いは示談金を稼ぐ為か?
『母親』に負担をかけまい…という偽善じみた責任感だろうか。
それともまた別の目的か…ともかく彼らも中高生のバイトでは得られぬ金額を求めて武器を取る…。

入学初日から雪菜だけでなく、羽音達もそっち方面からのスカウトにもあった。
生徒の中にはそんな高額に目が眩み、スカウトに引き込まれてズルズルと道を踏み外した者もいるが、ここは香港国際学園…弱い存在は報酬すらまともに得れはしない。
安い報酬で身体を売ったり命を張ったりするのはマシな方…中には9割以上のピンハネやタダで働かされる事もしばしばなのだ。
窓の外にいる『父親』や『母親』達は…殆どが後者である。

当然とも言えるが、見た所『母親』に比較して『父親』は少ない。

今夜『父親』としての義務を果たそうという甲斐性を持ち合わせているのは、さっきのチャラ男くんだけの様だ。
野良犬共の嬌声に紛れて、爆竹の弾ぜる様な音が響き渡るが…盛りの付いた奴らが気にした様子はない…。

ただ一発…長く響く銃声…最後の銃声が負け犬どもの遠吠えの様に長く尾を引いた…。
「馬鹿だね…賞金首みたいな能力者相手に、あんなんじゃあ豆鉄砲さね…あむ。」
実際、能力覚醒したばかりの雪菜ですら音速弾を避ける…先輩方なら尚更だ。

(雪菜の場合、相手側の命中率自体がお粗末だったが)

量子の言う通り…マトモに戦おうというなら相性にもよるが『能力には能力』で対抗するしかない。
さもなくば雪菜達の様に、それなりの武器が欲しい所なのだ。

そこいらの不良…戦闘向けの能力者だとD〜Eランク程度でも…対等の条件なら『常人』の歩兵一個小隊に匹敵する。

『能力者』の逸話は山ほどある。
非公式ながら、大した装備も持たぬ一人の少年兵が…戦車、攻撃ヘリを含む中隊規模の軍勢を全滅させた記録まであるのだ。

それをさっきの少年ときたら…。


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