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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 52

右手から木刀が離れ、支えを失って前のめりに倒れ伏す。

天地を撃った暴徒が、古い映画の一動作の様にS&Wの小型銃から立ち昇る硝煙を吹き消していた。
「無理に立たなくてイイんだよぉ?」
「アッチの方さえ立たせてくれりゃねぇ?」
「立たなきゃクスリでも何でもあるしぃ…。」
…力尽きた天地の耳に嘲笑が突き刺さった…。
そしてその身動き取れぬ躯に、淫らな手付きの指先が迫る…。

…しゅる…じゃりっ…
「ん?ナニこれ…?」
暴徒の手首に金属製の…蕀状の物体が絡み付いていた。

…ざりざりざりっ!…

蕀が力任せに引かれ、おろし金にでも掛けられたかのように皮膚が裂ける。

「ひ…きゃあああ!?」

骨こそ無事な様だが、皮下組織まで挽き肉状に斬り刻まれた腕を押さえ、悶絶する。

ふと、天地が顔を上げると…肉片が弾け飛び、血しぶきが舞い…文字通りの地獄画図が繰り広げられている。

…仲間割れか?獲物の横取りか?…蛇眼の少女が蕀鞭を自在に操り、八頭大蛇の如く暴徒の群れを蹂躙していた…。

…天地の意識はそこでこと切れる…。



…公園地区…

その頃、雪菜達は量子が自販機から持って来た缶珈琲で食後のコーヒーブレイクと洒落こんでいた(買って来たとは言わなかった…『物質透過』を使ったようだ)。

「ゆっきぃ…向こうから…ばんばんて聞こえる…。」
常人離れした可聴域…羽音が雪菜の袖をちょいちょい引っぱりながら『ばんばんて聞こえる』方角…天地が走り去った方角を示す。

「銃声が聞こえてる内は…大丈夫…まぐまぐ。」
ドーナツを一口かじり口の中で珈琲と混ぜ合わせながら、どーでも良さげに答える量子。

「聞こえなく…なった…。」

「運が良けレバ逃げ切るデスだよ。」
サラ、良くなかったらどーなんだ的な…含みを残した言い方。
「そだねん。」

羽音のあっさり納得する様子で、雪菜も理解した。
この無法地帯…能力、武器、人数…何に頼ろうが生き残った人間が正しいのだ。

さもなきゃ引き篭りも可能である。
授業は自習も可能、頼めば学食の出前まである…当然有料だが奨学金なり親の仕送りなりで賄える額だ…。

「影犬なんざ…まっ先にヒッキー確定かと思いきや…以外と逞しいトコあるじゃん…。」
独りごちながら、ぬるくなり始めた珈琲を含む。

…羽音イヤーは地獄耳、影汰の消えた方角からも銃声を聞き取っていたが…まぁ大丈夫だろうと聞き流した。

量子が珈琲とドーナツをげふっと平らげ、ラッキーストライクをくわえながら切り出す。
「来週辺りさ…お花見…行こっか(すぱ〜)?」

「賛成なのデス!!」
「お花見なのねんっ!!ゆっきぃもっ!?」
「別に…良いけど…?」
…友達か…

そっけなく賛同した雪菜だったが、この無法地帯で得た新たな友人達に照れ臭さを隠せずにいた。
「ど…どうしてもって…言うならね?」
ふふん、と鼻で笑いそっぽ向く。

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