香港国際学園〜外伝〜 51
壊れた銃を棍棒がわりに振り回す暴徒。
「ちいぃ!?」
振り下ろされた銃身を掬い上げ、返す刀でガードの空いた胴…脇腹辺りに念動剣をかすめさせる。
「はうぅ…天地くんの熱いのがアタシの中にぃ!?」
念力で内臓を揺さぶられ、酔っ払いの様に倒れ伏す…。
本気で打てばマキワラどころか鉄骨すらブッタ斬る念動能力の刃…手加減するのも大変だ。
(素手の天地自身の念動能力自体は荷物を持ち上げる程度)
ふと、すぐ横合いで…グリップから長い弾倉の伸びた小型マシンガンを突き出した暴徒。
「あぁ…もうっ!?」
少し遠い…木刀を腰の高さに構え念力の『鞘』を形成する。
「いやぁっ!!」
鞘走りで加速された刃がカマイタチを起こし、弾倉の底板を傷付けた。
びよよん…とスプリング圧に耐え兼ねた弾倉が破損、地面に数十発の未使用の銃弾をこぼし、弾の無い薬室をボルトが空撃ちする…。
呆気に取られた暴徒に迫り、コメカミを撫でた…これまた幸せそうな表情で昏倒してゆく…。
「キョオォオオオっ!!」
刀ごと両断しそうな大上段からの一撃…。
御神木の木刀はビクともしないが筋力強化の使い手か…圧し負け、左肘に傷を負う。
「くうぅあっ!?」
萌える苦悶が、更に暴徒の群れを沸き立たせる…。
「ボクだって…戦いたくないんだぁああっ!?」
いくらス〇ーカーでフーリガ〇な連中とはいえ、一応相手は女の子。
武器破壊と峰打ち?で、なるべく傷付けず退けてゆく…後に…
『神樹天地の百人斬り』
…と、唄われる一件である…。
…なんとも紳士的な方ですねぇ…ぺっぺっ!!…(悪魔)
…キミなら海兵隊ばりに大暴れしてるトコだよね…(天使)
…満身創痍…刀疵や矢弾を受けて、制服は所々裂け少なくない流血…左腕も力無く垂れ下がる…。
迫る槍襖を片手打ちに払うが、斬り損ねた穂先が向こう脛をえぐる…。
念動能力でその一団を突き飛ばすと、将棋倒しに転倒…戦闘可能な暴徒の数も、十名余り…恐らく漁夫の利ならぬ漁婦の利を狙って隠れていた輩か…天地はその程度の相手、モノの数ではない、という確信があった…強攻突破するなら今しかない!!
銃撃を念動剣で反らしながら手薄な人垣に向かってゆく…が。
オーラが急速に色褪せてゆく、微妙な肌寒さを感じた…。
「うふ…どうしたのボクぅ?顔色悪いんじゃなぁい?」
「フ〇イズシフトダウン…かなぁ?」
…やられた!?…
天地は確信が過信であった事を思い知った。
常日頃、天地にス〇ーカーまがいの真似をしている連中…尚且つ『漁婦の利』を狙う様な連中なら、彼の弱点…稼動時間の短さぐらい計算していた筈だ。
既に精神エネルギーも使い果たし、躯中も悲鳴を上げている…。
気合いや根性でどうにかなるレベルではない…立っていることさえ困難になってきた。
「馬鹿な娘達は勝手に片付いたね。」
「じっくり輪姦せる人数になったしぃ…。」
…ぱんっ!…
木刀を杖に突く天地の右腕に小口径の銃弾が撃ち込まれた。