香港国際学園〜外伝〜 50
朦朧となった脳裏に姉…神樹葉月の見下すような姿が浮かぶ…。
『能力の優劣が全てではない、だと…下らん!!弱者の言い訳にしか過ぎんな!?』
力無き正義を認めぬ姉…一度たりとも、微笑みすら見せぬ姉…。
『貴様の様な軟弱者が弟なぞとは…私は認めぬ!!』
…ね…え…さん…
「…おねいさん達とぉ…えっちしよ?」
天地が立ち上がる…気勢を振り絞り、覚悟を決めたかのように立ち上がる!!
その神々しさに、流石のショタ萌え達も気押されたか…いや。
「萌え〜っ!?」×大勢
…おいおい…結局それかい…。
立ち上がる天地の目の前には、能力者の未来も理想も考えず…ただ、この性と暴力の支配する魔界都市に身をやつした亡者の群れ…。
「そんなにセ〇クスがしたいのかよ!アンタ達はあぁあっ!?」
背中に佩いていた刀袋を払い、叫ぶ天地。
御神木の落ち枝から鍛え出した木刀が、天地と共鳴…全身から澄んだ翠色のオーラを放つ…!!
『念動能力』の発動。
この天地、低ランクの能力者とはいえ神樹家秘伝…御神木の木刀を媒体にすれば極限まで能力を引き出す事が出来るのだ!!
…ぶぁおん…木刀からほとばしる念力の刃。
ショタ萌え原始人らの表情から、淫媚な薄ら笑いが消え…その瞳は濁った輝きで満たされる。
「手足の二、三本は覚悟しな…。」
「顔とおチ〇〇ンは勘弁しといてやるよぉ。」
「最悪、ブチ殺して蘇生してから調教…ってね…ウフ!」
…じゃか…しゅらっ…
天地が抵抗の意を見せるや…物騒な威し文句と共に得物を構える少女達…。
この頃の香港国際学園…福沢さん一枚で、そこそこの中古銃やサーベルくらいホイホイ買えてしまう時代なのだ。
童貞美少年大好きで、えっちなおねいさん達は既に暴徒の群れと化していた。
先頭の少女達が拳銃を乱射する…。
「危ないっ!?」
天地は木刀を風車の如く振りかざし、念力のバリアを形成する。
物凄い衝撃…問答無用で実弾だ。
バリアと金属以上の強度を持つ木刀で弾かれ、弾道の狂った銃弾は反対側の暴徒達の足元に着弾、たたらを踏ませた。
…味方に当たるとか…考えてないの?!…
こ〜なると女は怖い…徒党を組みながらも、ライバルが減る位にしか考えないのだ。
じゃかっ!天地の背後でポンプ式散弾銃特有のスライド音…。
「ちょっ…だめぇ!?」
念力のバリアで身を守りつつ突撃。
ばこん!短銃身で拡散した弾を受けるのは少々厳しかった…防ぎ損ねた細かい粒状の鉛玉が数発太股に食い込んだが、構ってられない。
あと数歩の間合いで、少女はレミントン散弾銃を構え直している。
「はにゃ〜ん?」
暴徒と言っても年頃の女の子…イザお目当ての男の子と御近づきになりゃ砂糖菓子のようにとろける。
「えうぅ…ごめんなさいっ!?」
軽く罪悪感を覚えながらも念動剣の一撃、スライド部が歪み装填不能となる。
少女の瞳が、暴徒なソレに戻った。
「こぉん畜生っ!!」
可愛いさ余って憎さ百万倍…か。