香港国際学園〜外伝〜 47
…不良能力者がどうので生き残る為には云々…。
折を見て女生徒の方がこれからは、女性も戦うべき…。
大体想像はついた、昨日の『噂になってる』新入生を自分らの保身の為、用心棒に雇おうと言う事…それをダラダラ駅前勧誘の如く、現実から逸れた『負け犬』の淀んだ瞳で訴えかける…。
延々30分程、正義に酔った瞳で語り尽した後…コメカミ血管ひくひく、な雪菜に『是非我が団体へ』…のリクルート…。
…ぷちん…
「帰れっ!!」
…ずぎゅーん!ばぎゅーん!!…
「ヒィ!き…キ〇ガイ!?」
「こ…殺されるぅ!?」
マグナムの轟音が響き渡り、負け犬共を蹴ちらした…。
…昼食…
とりあえず無法地帯でも…食堂、風呂、そして自室にまで攻撃を仕掛ける輩はいないらしい。
食事中は至って平和…雪菜は羽音の他、サラ量子の四人で卓を囲んでいた…。
…何故この四人?と雪菜は問う。
彼女の問いに、サラはナンを一口分千切りインドネシア風味?なスープに浸しながら答えた。
「ワタシ達『ナマカ』だろデス?」
「サラ…それ仲間…まぐまぐ。」
…と量子が特盛牛丼を掻き込みながら訂正した。
「仲間か…昔じゃ、聞けない言葉だよな…。」
確かに取り巻きみたいのはゴロゴロいた…喧嘩上等な雪菜の権力を頼って、暴力を恐れて。
しかしこの三人は違う、袖すり合うも多少の縁…とばかり、無償で…。
気楽で、単純で、気持ちの良い(えっちな意味でも)…そんな奴らだ。
「とりあえず自警団にはついてかないで正解…てっぽー持ったヒッキー…たまに人数集めて悪い子とけんかするの。」
…と500gハンバーグセットを平らげた羽音。
ストリートギャングにカルト集団…どちらも元々は、高ランク能力者を恐れた弱者の集まりだった様だが…。
実際、この学園を能力で『シメよう』などという暴君は現れる気配はない。
気楽な時代ほどタガが外れ、暴れたがる連中が幅を効かせるという事か…。
法と秩序の独裁者、公元主姫。
性と暴力の権化、今泉姉妹。
…かつて香港国際学園の光と影…両者和解は為され…今、公主は学園理事。
今泉姉妹も名を変え姿を変え、公主を影から支えているという…。
詳細は不明だが、二年前の『香港国際学園謎の爆発事件』…荒れてはいるがそれ以前より気楽な時代だ。
『メロンパン先輩』や『浅倉組』の様に無害?なアウトローもいる様だ。
正義の二文字には程遠いが、そこそこ面倒見の良い先輩方もいる…頼るならそっち。
雪菜は、数日早く入った三人からそんな説明を受けた…。
その時、羽音の絶対音感が特定の人物の足音を聞き分けたらしい…。
「やほー!天地く…もがもが!?」
サラと量子が手を振る羽音の口を塞ぐ…。
その先にいた少年…ユグドラシルの大樹から溢れ落ちた朝露を思わせる笑顔を返す…が、間を置いて。
神々の黄昏か、天地を揺るがす巨人の叫びにも似た黄色い声…。
「んっきゃあああ!てんちくふぅ〜ん!!」×大勢