PiPi's World 投稿小説

香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

の最初へ
 29
 31
の最後へ

香港国際学園〜外伝〜 31

「何だかんだ良い子と悪い子のバランスは取れてるから。」

…取れてないよ何一つ…不良が片付いたら『メロンパン』がどうのって大喧嘩始めた…

あの二人が来ない方が被害少なかったんじゃないの?的な惨劇に発展…スニーカー文庫が電撃文庫が…目の前で繰り広げられる人外な光景に、下着を湿らせる自分にすら気付かず見入る雪菜であった…。


…香港国際学園学生寮…
「二人部屋よ、大体…。」
「…説明した通り…細かい事は同室の娘に聞け…でしょ?」

大人…いや、自分を上から見下ろす人間には徹底して反発する雪菜。

服部優奈はヤレヤレと肩をすくめながら軽く会釈を残し、その場を後にした…。

雪菜の自室、二人部屋というだけあってアクリルのプレートが二つ…一つは当然『綾瀬雪菜』もう一つには『西川羽音』と記されていた。
ドアを開けようとした雪菜の手が止まる…。
「何でこの娘の名前がアタシより上についてんのよっ!!」
まぁ序列がどうこうというレベルではなく、此処に来た日付が多少早かっただけの事…。
マグネット式のそれをひっぺがし、上下入れ替え満足気にうなづく。
…そしてノックもなしにドアノブを捻った……かくん…。

施錠してある事を示す空回り…予め受けとっていた鍵を探り出し解錠、出迎え無しの無礼に軽く腹を立てながらドアを開ける。

…し〜ん…当然、誰も居ない…

右手に雪菜の荷物、そしてベッドと机を始めとした基本的な家具…反対側は…同室の西川羽音のスペースである事は理解出来たが『宇宙』を意味するスペースではないかと雪菜は感じた。

絨毯からカーテン、シーツまでフリルでピンク、縫いぐるみの群れ…歴代アイドルの無数のCDまでは想定の範囲内だが…。

…何かこう、彼女自身と思われる等身大ポスター…。

CD屋にある様なアレ。
…そして小学生とは思えぬ豊かな胸元にサインらしきモノ…。

『はいねりん』

…と読み取れた。
ふと思い出す…一時期話題になった子役アイドルだ。
声真似が得意を通り越し、声紋レベルでの声帯模写と絶対音感を持つ少女…。
『何故こんな所に』…と考える雪菜だったが、数刻後には『だからこんな所に』である事を理解した。
常人離れした能力、それ故此処に来た。

雪菜自身も健康診断の結果、何か色々不可解な数値を出した。
…能力者の才覚…ありと診断された。
「ざけんじゃないよっ?!」


でこぴんっ!
「こんな奴と私が同レベルですってぇえ!?」

ふよん、ふよん、と揺れる『はいねりん』。

「帰ったら死ぬ程コキ使ってやっから…覚悟しときな!!」
雪菜は荷物の開封もせず『はいねりん』に捨て台詞を残し部屋を後にした…。


…ふごぉ…くかぁ…すぴぴ…

まだ昼の三時だというのに、向かいの部屋から豪快な鼾が聞こえて来る…アクリルの表札には…
『賀集量子』
『サラ・ターム』
…とあった…。
今はとにかく表の空気が吸いたかった…無視して廊下を進む…ごく普段通り肩で風を切って…。


SNSでこの小説を紹介

学園物の他のリレー小説

こちらから小説を探す