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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 4

そんなまどろんでいる倶利伽羅の耳にがさごそと動く音がする。
気だるそうに眼を開くと、巫女服姿の子供が前にいた。
上から垂れている縄を見ると、これを伝って降りてきたらしい。
長い髪を後ろで纏めたやんちゃそうな少年が、好奇心いっぱいの表情で倶利伽羅を見上げていた。
「くりっち、遊びにきたよ〜っ!」
倶利伽羅にとって長い人生(?)において『くりっち』呼ばわりされる経験なんて初めてである。
半ば呆然と巫女服姿の少年を見ていると、少年は満面の笑みで見上げている。
「あらっ、今は男の子だから判らなかったのかなぁ……呼ばれなくとも参上したのは紫穂ちゃんで〜す!」
流石に性格がここまでころりと変わると判らなかったが、ようやく状況を理解出来た倶利伽羅。
「そうか……お主らは男女入れ替わる身体であったな……」「出雲族は、性別変わると性格までかわっちゃうからね」
満面の笑みで無遠慮に見上げてくる男紫穂。あの可愛らしい紫穂も好ましいが、こんなやんちゃで愛嬌ある少年も嫌いでは無かった。
倶利伽羅もつられカラカラと笑う。


しばらく他愛ないのない話で盛り上がっていると
「そーいえばくりっちはなんでこんな所に『封印』なんかされてるのさ」
ふと紫穂が尋ねた
「『黄龍』に反旗を、いや…『人』に…『人間』に関わろとしたからかのう…」
少し声のトーンが下がる
それに気づいたのか紫穂が頭を掻く
「あ〜…うん!!でもさ、ほらそのおかげで今こうして出会えたんだしさ」
上手く言えないようだが励ましているらしい
その姿に目を閉じ少し笑った
「それもそうじゃな、人生万事塞翁が馬、というしな」
「そうそう、ぽじてぃぶしんきんぐっていうやつだよ」
ニカッと笑い親指を出した

そんな二人だけの日々が1ヶ月、2ヶ月、半年と続きそして丸二年が過ぎようとしていた
思春期に入ったのか最近、化粧や髪飾りなどちょっとしたオシャレをしてくるようになった
そんな紫穂の成長を見ていると愛おしくもありそして悲しくもあった。もうすぐ紫穂も15、儀式が近づいているのである
倶利伽羅の前で踊る紫穂。
やはり、貴種の血を引くだけに紫穂には歌や踊り、楽器に天性の才能を持っていて、退屈な日々を送る倶利伽羅を楽しませていた。
また、15歳になろうとする紫穂の身体は、女の肉がむっちりと付き、大人の色香と少女の青さの入り混じった何とも言えない雰囲気を醸し出していた。

紫穂も、もう間もなく大人の儀式を受け『女』となる。そして、一年もすれば嫁ぎ、別れがくる……それは倶利伽羅も紫穂も分かっているが、お互い口には出さなかった。
紫穂は倶利伽羅に対して好意以上のものを持っていたし、倶利伽羅も紫穂が心を占める割合は時と共に大きくなり、紫穂が心を占める割合が大きくなるにつれ、竜の姿では無く人の姿で迎えるようになっていた。
紫穂も青年の姿をとった倶利伽羅に心ときめかせ、女の子の姿で精一杯おめかしをして来るのが常であった。

その日も、人型になった倶利伽羅は、紫穂の舞を洞窟の壁にもたれながら見ている。
いつにも増して物悲しく見える舞……無性に胸が焦がれる思いがしていた。

舞を終え、倶利伽羅の前に来る紫穂。上気した顔の美しさ、そして表情の中にある悲しみに思わず引き込まれそうになる。

「竜王様……」
紫穂の口から、まるで鈴の音のような綺麗な声が漏れるが、その声は何時もよりか細い。
「紫穂は……儀式を受けて……嫁がねばなりません……」
「そうか……」
封じられた倶利伽羅は何もしてやれない……無論、行くなと言えば少女を困らせるだけと言う事も分かっている。
感じる無力感や苛立ちが倶利伽羅から言葉を奪い、洞窟は暫し静寂が支配した。
「竜王様……だからその前に……」
泣き出しそうに見える紫穂はそう言いながら巫女服を脱いでいく。
「……その前に……竜王様が紫穂を女にして下さい……」
暗闇の中の仄かな明かりに照らされた紫穂の白い裸身……女として美しく成長した紫穂の身体に、倶利伽羅も何百年がぶりに男として熱いものが込み上げてきた。
倶利伽羅が言葉を発する前に、紫穂はゆっくりと抱きついてくる。
その柔らかさと暖かさを感じながら、倶利伽羅は不自由な手で精一杯抱きしめた。

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