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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 3

巫女姿の紫穂は、現在12歳。あどけない表情と正反対に、肉感的な肢体が服の上からでも分かる美少女であった。
一族の当主や、支族、一門の長は男と言う事になっていて、それ以外は女として育てられる、性別の入れ替わる彼等にとってさほど性別にこだわりは無い。
それは、神々を身体でもてなす時に、女なら豊潤な身体で、男なら逞しい逸物で奉仕するよう『創られている』からであった。

竹箒を手に、鼻歌を歌いながら掃除する美少女は、もうすぐ大人の儀式として処女と童貞を卒業し、やがて年の離れた鈴木家の当主、誠清と結婚する事が決まっている。
古くからの家のしきたりをよく熟知しているし、家の道具として嫁ぎ、家の為に子を成さねばならない事も紫穂には理解できている。
しかし、少女らしく運命的な恋をしてみたい欲求だってあるのも事実だ。
「誰かあたしを攫ってくれないかしら……」
人知れずそう呟いても夢物語なら咎める者もいない。

そんな夢を呟きながら境内、そして社の中を掃いていた時だった
社の中心近くの床がメキメキッと嫌な音をたてた
「ふぇ?」
紫穂が気づいた瞬間床が抜けそこに落ちた

「いたぁ〜…お尻打った〜」
そう言いながら立ち上がるとそこは洞窟のような場所だった
「『龍塚』の下には洞窟があったのか〜」
そう呟いた時だった
「…何者だ」
低い、それでいて威圧感のある声が響いた
「え?…ひゃ!!」
見ると洞窟の奥に荒縄に縛られた黒竜がいた
「小娘…何のようがあって来た」
紅い瞳をこちらに向ける
「あ…あ…」
恐怖でへたり込んでしまった紫穂を見て黒竜がため息をついた
「怯えずとも良い。取って喰ったりはせぬよ」
そう言うと目を細めた
「あ…は、はい」
黒竜の言葉に安心したのか紫穂が立ち上がった
「それで…何用で来た。小娘」
改めて尋ねる
「小娘じゃありません。私には紫穂という立派名前があります」
意外な答えに一瞬黒竜がキョトンとし、そして大きな声で笑った
「すまんすまん、紫穂。わしは『倶利伽羅』訳あってここに封印されておる竜だ」
そう言い巨体を揺らすが荒縄はびくともしない
「私は雨宮紫穂、この上にある社を掃除していたら床が抜けて…」
そう言うとお尻をさする
「『雨宮』…?もしかしてお主出雲ゆかりの一族か」
「はい、雨宮家当主の娘です」
その言葉に倶利伽羅が少し目を細めた
「そうか…まぁ良い。わしの力で上まで上げてやろう」
そう言うと紫穂の体を光が包んだ
「あの…ありがとうございます。えと…また来てもいいですか?」
紫穂の言葉にまた大きな声で笑った
「好きにするがいい、こんな状態でも悩み程度は聞いてやれるからな」
「はい!!また来ます」
そう言うてぺこりと一礼して上がって行った


……倶利伽羅にとって、紫穂との出会いは数十年に渡る退屈な日々からの解放であり、少なからずこの可愛らしい少女が再び現れる事を心待ちにしている自分がいる事に苦笑する。
万年を生きる竜王にとっても、数十年に渡る幽閉はかなり堪えていたのかもしれない。

一方、紫穂にとっても倶利伽羅との出会いは衝撃的だった。
もはや出会いの恐怖はどこへやら、子供らしい好奇心の方が上回っていた。
退屈な田舎の厳格な生活に転がり込んできた非日常に、紫穂の胸はときめくものがあった。
まだ、この時2人は、この出会いが自分達の運命を大きく変化させる出会いだった事を知る由も無かった……


再び闇の中……
静寂の支配する空間に身を任すようにして倶利伽羅はまどろんでいた。
竜王である彼は、特に眠る必要性はないのだが、起きていても退屈なだけである……巨大な身体を丸めるようにして、うつらうつらとまどろんでいた。
幸いと言うか、荒縄は生活に困らない(?)程度には弛まる。但し、人型になろうと外れはしないのが封印たる所以であった。
そんな不自由にもいい加減慣れた。
慣れたら気にしないのが、彼の彼たる所以である。

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