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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 27

「小生は果心、ただ標を導き読むだけを生業としているものザンス」
そう言うと、フワリと給水塔から飛び降りた
「『過去』を変えられるとしたら変えたいザンスか?」
「・・・なに?」
果心の言葉に耳を疑う
「『人は間に生きるもの、されど間は一方通行、なれば人でなければどうか、間の理ねじ曲げて、遡ることはいとも容易し』」
瞬間風が、いや空気が『止まった』
「こいつは・・・」
「『時廻之法』いざ導け彼の地彼の時代への道標」
空間が歪む、息が詰まる
その感じたことのない『気持ち悪さ』に刹那は気を失った
…それは走馬灯と呼べるのか?いささか粗雑に加速された記憶の巻き戻し…。
…定職のあてもなく、途方にくれる刹那に、学園復興の為の依頼に現れた継ぎ接ぎフランケン…今泉ジェロニモ…
…破水して救急車で運ばれる妻…玲子…
…壊滅状態の香港国際学園、おびただしい屍の中、慟哭する北川才英…それに寄り添う悠里と眞澄…
…見えざる敵に龍砲の奥義を放ち、力尽き倒れる理人…
…再び銀城玲子…酔い潰れ吐瀉物まみれで刹那に泣き付く…
…入学間も無く、不良能力者共を踏みにじる彼の元へ…生徒会のスカウト…
…脱走兵と共に貨物船に揺られる中…しけったマルボロに一服点けた瞬間、包帯グルグル巻きの少女?二名に『煙草は嫌い』と袋叩きにされる…
…血も灼き尽くす砂漠の戦場若かりし日、いや少年時代の理人が銃を片手に迫って来る…
…泣き叫び命乞いする傭兵たち…旧式機銃とその弾帯を手放さず逃げ出す姿に関心しながらも嘲笑う…
…ゴルドー…いけ好かない小僧…将官でも迎えるかの様に捧げ銃の姿勢をとるエリート兵の間を悠然と闊歩…刹那を踏みにじり『靴を舐めろ』と命ずる…
…そして幼少時代…
「…やめろぉ…。」

絞り出すように呟き目を開くとそこは病院の屋上ではなく・・・
「『親父の庭』・・・」
砂利が整然と敷き詰められ見事なまでに手入れをされた庭
幼い頃幾度となく走り回りそして母を怒らせ父親がなだめてくれた場所だ
「・・・本当にここは」
過去なのか、と呟くと同時に庭先の障子が開いた
「あんたは・・・」
開いた障子の向こう、そこにその男はいた
「親父・・・」
刹那の言葉に男が視線を向ける
「・・・刹那か」
男が静かに呟く
「俺が・・・分かるのか?親父」
刹那の問いに笑顔で答えた
「自分の子供が分からん親が何処にいる。例えいくつになっていてもな」
「親父ぃ・・・」
刹那の目から涙が溢れる
「こらこら、男が泣くな。みっともない」
そう言うと刹那に手拭いを投げてよこした
「とりあえず儂の部屋に上がれ。今の時期、外は少々冷える」
手拭いで涙を拭いた刹那が懐かしい砂利の音を鳴らしながら父親の部屋にあがった
「今、なにしてる。仕事はちゃんとしているか?」
シュンシュンと音を立てる鉄瓶を挟み座り父親に向かう
「あぁ、なんとか」
「そうか、それは良かった」
刹那の言葉に安心したのか笑顔で湯を湯呑に注ぐ
珈琲独特の薫りが部屋に広がる
なぜかこの父親は湯呑で珈琲を飲む癖がある

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