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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 26

「まぁ何にせよ、人間、一生懸命生きりゃ、良いこともあるさ。悪い事ばっか考えてると、悪い事にしかなりゃしねぇ」
「……てめぇらしくないポジティブな考えだな、立花」
紫煙と一緒に毒のある言葉を刹那は吐く。
「人間、未来には希望がなきゃな。お前の場合、もうすぐ生まれんだろ?」
そう言って、理人は刹那に向かって、指を人指し指を立てる。
「……てめぇって、煙草吸えるのか?蒸せるぞ、初めてなら」
「これでも、11ん時から吸ってたぞ。リィナに無理矢理止めさせられまで、戦闘中以外はな」
箱から一本取り、氣を練った指で火をつけた。
「そりゃ知らなかった」
「まぁ、今は吸ってねぇし、知ってるの剣護と瞳だけだけどな。何となく吸いたいだけだ。それにな、龍術を応用すりゃ、毒を一切肺に残すこと無く、吸えるんだぜ。毒はみぃんな煙り行き」
「だったら、その濃度の濃い副流煙を俺に向かって吐くな」
刹那は慌てて、理人の吐いた紫煙を払う。
横では理人が無邪気に笑っていた。
「……数えきれないぐらい人を殺した俺たちが父親か……」
「嬉しいのか?怖いのか?」
「……半々だな。俺は親父の事、知らねぇからな、父親できるかな?」
「一生懸命やりゃ良いじゃねぇか」
「……まさかお前に励まされるなんて……」
理人が怪訝な顔で刹那を見た。
「さっきから、失礼じゃねぇか?」
苦虫を噛み潰しながら、刹那が抗議する。
「礼儀が無いのはお互い様だろが」
理人の言葉に、けっ、と毒づきながら、刹那は思い出していた。
『父親……、親父……か』

刹那の中にある一番古い記憶の中の父親は常に穏やかな笑顔を浮かべる、戦い等とは全く無縁の優しい男だった。少なくとも父親に怒られた記憶は一度しかない
「・・・あの時、この『力』があれば親父を死なせずに済んだ・・・のかな」
理人が下に降り、だれもいなくなった屋上で一言呟いた。そして少し笑った
「済んだことは変えられねぇやな」
フ〜ッ、と煙草の白い煙を吐いた
「上を向いたら限りなく、下を向いたら後がない、済んだ済まない分からぬ明日、変える闇鬼、夢が後」
カラン、と下駄の澄んだ音が響き、給水塔の上に唐笠をさした白い着物の男が現れた
「誰だ」
敵意を感じないが何処か『あの男』に似た雰囲気を持つ男に刹那が構えた

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