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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 24

銀髪の男、19歳になった理人に恋人である桜美咲は微笑んだ。

理人は剣護、瞳と共に日本に極秘亡命(当時、無国籍)した後、無気力な日々を過ごしていた。
保護者となった、防衛庁情報本部に所属する池上氏は心配し、理人達を能力者の集う学校『香港国際学園』に入学させた。
当初は、そこでも無気力に過ごしていた理人だったが、ある日、何気無く一人の少女を暴女(?)から助けた。
助けられた少女、美咲はすぐさま理人になついた。
当初は煙たがっていた理人ではあったが、次第にその明るさに惹かれていった。
だが、惹かれれば惹かれる程、理人は怖くなっていた。
自分は傭兵として、数多くの人を殺し、大事な人を守れなかった。
隠すことに耐えきれなくなった理人はリィナの事以外は全て話した、怖がられ、離れていくのを覚悟して。
だが、美咲はそれでも離れなかった。
『理っちゃんは理っちゃんだから』
そう言って、美咲は理人を受け入れた。
その後、紆余曲折を経て、二人は恋人となったのは別の話だ。

そして、無事学園を卒業した二人は今に至る。
「いたいた。やっぱここか」
二人の後ろで声がした。
「剣護」
タキシード姿の剣護が立っていた。
「リィナさんに報告するのは良いけどよ、もうすぐ始まっちまうぞ。晴れの結婚式で新郎新婦が遅刻なんて、不吉だ」
「分かってる。もう行くさ」
「早くしろよ?瞳が運転する、って言い出しちまう」
「それは怖いな。アクセルベタ踏みだもんな」
笑いながら、剣護は車へと向かう。
「美咲、行こうか?」
「あ、ちょっと待って。最後にリィナさんに言っておきたいの」
そう言って、美咲は墓石に手を添える。
「ん、じゃあ、俺も」
理人も同じようにした。
しばらくして、二人はほぼ同時に手を離した。
「行こっか?」
「あぁ」
二人はお互いの手を握って歩きだす。
「ねぇ、理っちゃんは何て言ったの?」
「お前は?」
「私は、『ありがとう』って。今の理っちゃんがいるのは、リィナさんのおかげだもん。この子もそう」
美咲は左手を自分は腹に当てる。まだ感じられないが、確かに胎内には命が宿っているのだ。
「そうか。そうだな」
「理っちゃんは?」
「ん〜、俺も『ありがとう』かな」
「そっか」
美咲は微笑む。
前方から声が聞こえてきた。
「こらぁ!!早くしなさい!!私が運転するわよ!!」
「結婚式直前に事故死は………」
「剣護、何か言った?」
瞳に詰め寄られている剣護に苦笑しながら、二人は歩を進めた。


リィナ、ありがとう
君と約束した通り、俺は人を好きになって、一生懸命生きてる。
これから、俺は美咲に永遠の愛を誓うけど、君の事は、絶対忘れない。美咲には失礼かもしれないけどね。
でも、彼女は多分許してくれる。そんな人なんだ。
だから、君の分まで、幸せにしてみせる。君の分まで生きてみせる。
ありがとう、リィナ。

〜第二部『橘理人編』完〜

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