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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 23

サッと、ゴルドーが手をあげると、付近にいた兵士がリィナを抱いた理人を囲む。
「………さっそく、約束破ってもらおうか」
「………そう簡単に破れる約束じゃない。俺はこれから、一生懸命生きなきゃならねぇんだ。例え、人間兵器に戻っても!!」
そう叫んだ理人の髪が銀に、瞳が紅に染まっていく。
先祖帰りとでも言うのだろうか。その姿は『初代橘理人』に瓜二つだった。
だが、気配は違った。それだけで人を殺せそうな殺気を放ち、理人は地を蹴った。


「ガハッ!!………き、貴様ぁ」
二十人はいただろうか。ゴルドーの集めた兵士は全て見るも無惨な死体へと姿を変えていた。
そして、ゴルドーもまた、この惨劇の主役である、血まみれの狂戦士に踏みつけにされていた。
「どうした?我を殺すのではなかったのか?」
右手にデザートイーグルを、左手には機関銃のM60E4を握り、胸を踏む力を強める。
「………チィ!」
ゴルドーが右手の、リィナを殺した銃を理人に向けようとするが、理人の反応の方が早かった。連続した発砲音と共に、銃弾がゴルドーの右手首を粉砕する。
「!!!!」
ゴルドーは声に成らない叫びを上げる。
「苦しんで死ぬのは貴様らしいな」
機関銃を捨て、デザートイーグルを急所を外し放つ。
「頭と心臓は最後に取って置いてやる。苦しめ」
マガジンを交換して、再度銃を向けようとするが………
「ぐっ!?」
「ラース!!助けてくれ!!」
突然現れた『ミネルバ』の責任者、シャリアンでゴルドーと話していた男が理人の肩を撃った。
「………貴様」
「………すばらしい。これこそが、我等の理想だ。………だが、残念だ。今の任務はこの約立たずの回収だからな」
「させると思うか?」
大袈裟に残念がるラースに理人は銃を向けた。
「フッ、思わないから、こういうのを連れてきた」
ラースの後ろに攻撃ヘリが現れ、機銃を掃射する。
理人は弾丸を避け続けるが、掃射が終わる頃には、ゴルドーもラースも姿を消していた。
標的を失った理人は、ただ、涙を流しながら、リィナの亡骸を抱くしかなかった。


数ヶ月後、『ロイヤル・ハリビア』を失った『ミネルバ』はハジサドへの援助を打ち切り、旧王国軍は一気に戦況を引っくり返した。
亡命をしようとしたハジサドは一人の日本人の少年兵により捕えられた。誰からともなく、その少年は『血まみれの狂戦士』だ、と言う噂が流れるも、真相は闇の中に消え、『血まみれの狂戦士』もまた、戦場から姿を消した………。


四年後………
一組の男女が墓の前に立っていた。場所は横浜、外国人墓地。
「ここが、リィナさんのお墓?」
「………あぁ。フランスには親戚もいないと言っていたから、様式は違うけど、向こうで火葬して、遺骨をこっちに持って来たんだ。俺の、リィナへの最後の我が儘だ」
「………愛されてたんだね、リィナさん。理っちゃんに」
「………だと、良いんだけどな。あの頃は、俺はまだまだ人間として、欠落した部分が多かったから」
「でも、リィナさんは最期は笑ってたんでしょ?多分、愛されてる、って思ってたんだよ」
「そうかな?」
「そうだよ」

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