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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 22

銃口から放たれた弾丸は真っ直ぐゴルドーに向かい、額に当たる。
だが、それだけだった。弾丸はなぜか突き抜けず、額の表面で止まる。
「なに!?」
「………しばらく会わねぇうちに忘れたらしいな、俺の能力を」
「………『回転』の能力で額の細胞を弾丸の回転とは逆回転させたのか」
「その通りだ。まぁ、細胞に負担がかかり過ぎちまうから多用は出来ねぇがな。だが、便利な能力だぜぇ?その気になりゃ、こんな事もできる」
邪悪に笑うゴルドーが額に力を入れると、止まっていた弾丸が猛烈に回転を始め、理人へと飛んだ。
「なっ!?」
不意を突かれた理人の腹に弾丸が突き刺さる。
「理人!!」
「ハハハハッ!!」
リィナの悲鳴をゴルドーの笑い声が交錯しながら理人の耳へと入ってくる。
「………くっ」
「致命傷は避けたみたいだな。だが、まだ殺しはしねぇ。お前の大事な大事なこの女を苦しめて殺し、貴様に絶望を味あわせてから殺してやる」
「ご、ゴルドーっ!!」
理人が叫んだ、その時だった。
「………えい!!」
「えっ?」
リィナが後ろにいた兵士を投げ飛ばしたのは。
「な、何だと!?」
投げ飛ばされた兵士は何が起こったかも分からないまま、ゴルドーに突っ込む。
他の兵士も呆気に取られている間に、リィナは理人に駆け寄った。
「理人、大丈夫!?」
「………リィナ、何時の間に背負い投げなんて………」
「知らない?フランスは柔道が盛んなのよ。私も学生時代は柔道サークルに入ってたからさ」
そう言って、リィナは舌を出しながら力瘤を作る真似をした。
「ハハハ………リィナには敵わない」
「フフフ………」
二人は顔を見あわせて笑う。
だが、乾いた音がそれを消した。
リィナが理人へと崩れ落ちる………。理人にはスローモーションのように見えた。
「………リィナ?り、リィナ!!」
「………うっ」
「リィナ!大丈夫だぞ。直ぐに病院に連れていく!」
「無駄だ。肝臓を撃った。もう助からん」
リィナを撃った張本人、ゴルドーは銃を向けながら、薄笑いを浮かべて告げる。
「なにを!!」
「………理人」
「リィナ!血は出てるが、直ぐに止血してやる。助かるぞ!」
「………駄目よ。悔しいけど、アイツの言うとおり………。血を見て。黒いでしょ?肝臓がやられちゃった。………こういう時、医者は不便ね。自分の死期が手にとるように分かっちゃう」
「何を言ってる!!一緒に日本に行くんだろ!?初めてした約束を破るのか!?」
「………破りたくなんか、無いよ。私だって、理人と生きたかった………。ゴメンね」
「謝るな!何も言うな!」
「………理人、初めての約束は、守れそうに、ないけど、もう一度約束して?………戦争を、終わらせて、傭兵も辞めて、誰かを、好きになって、一生懸命、生きて」
「お前以外を好きになんてなれるか!だから、勝手に死ぬな!」
「フフッ、理人、大好きだよ………」
血に濡れた手が、理人の頬を触り、そのまま、力を失った。リィナの眼は閉じられ、もう動く事のない唇は薄い笑みを浮かべていた。
「…………………」
「ハッハ!死んじまったなぁ?お前が昔のままなら、死なずに済んだかもな?まぁ、今となっちゃ、全てが遅い」

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