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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 2

果心の言葉が早いか倶利伽羅の姿はすでになかった
「さてはて、どうなることやら倶利伽羅竜王、青き龍の矢の嵐、かわせるものかどうだろか?」
カラコロと高下駄を鳴らし呟いた
聖霊宮をどかどかと出ようとするその倶利伽羅の前に、涼しげな表情をした青龍が立ち塞がるように佇んでいた。
「邪魔する気か、青龍!!」
「いや、そんな気は無いが一言忠告さ……君が人間共の戦争に介入するのは我々としても困るが、貴種が何をしようが我らの関知する処では無い」
怒りの籠もった目で睨む倶利伽羅を、青龍は涼しげな目で見返す。
「……何が言いたい」
「熊野一族を使うといい……犬には犬なりの使い道がある」
そう言った青龍は懐から紙を取り出し倶利伽羅に渡す。
「これは熊野一族の譲渡証明書さ。これで熊野一族は君の物だから好きに使っていい……と、言うより、下界で君自身に暴れて貰っては困るから、隠れ蓑に使ってくれ……貴種がどう動こうが、我々としてはしらを切れる」
紙と青龍を交互に見る倶利伽羅の表情はまだ堅い。
「汚いやり方だ……それに熊野一族だって人間だろうに……」
「そう言うな……神々同士の戦争をしない為なのだから……それに『あれ』を人間と思って変に情をかけると辛いだけだぞ……」
そう言う青龍から視線を外した倶利伽羅は紙を懐にしまう。


九州付近 上空
「もうすぐ日本だ」
米軍パイロットの一人が言った。ちなみにこれらは本当は英語で話されています
「それにしても天気が悪いな…」
「そうだな…でも日本人も災難だなこんなもの二回も落とされるなんてな」
「そうだな、ハッハッハ」
そう言い笑った

その爆撃機から離れること数十キロ
全身を黒い金属に覆われたかのような竜が爆撃機のある方向を向いていた
「この距離なら被害はないな」
呟くと少し間をあけ息を吸い込んだ
「『黒焔…」
口から黒い焔が上がった瞬間だった
「『龍雨』」
倶利伽羅に数千数万、凄まじい数の矢が降り注いだ
「が…」
余りの衝撃に体制を崩した
「言ったはずだ、我らはこの戦争には関与はしないと」
「青龍…!!」
目の前で弓を構えている青龍を睨みつける
「なぜ熊野を使わなかった」
青龍の言葉に倶利伽羅が笑う
「人は俺達が好き勝手していいものじゃない」
「だから黄龍に背いたのか…残念だ、お前の事は嫌いではなかった」
「俺もだ、青龍」
返事と同時に倶利伽羅に荒縄が巻き付いた
「『縛竜縄』…さらばだ倶利伽羅」
眼下に広がる大地に墜ちていく倶利伽羅に向かい青龍が呟いた


所変わって、それから数十年後……

出雲の山奥にあるとある集落……ひっそりと佇むその集落は、通称『出雲一族』と呼ばれ、貴種である雨宮家の集落であった。

貴種とは、神々の血を引いていたり、土着神の末裔だったりする一族の事である。
各地の神々の下に数種の一族がいるが、彼等は古代より強力な能力を受け継いでいた。
その能力で神々の兵隊として戦いを担う一方、舞踊、音曲にも優れ、神々を楽しませる役目も果たした。勿論、身体で神々を慰めるのも役目であった……
そして、貴種は強力な力を持つ故に、神々から強固な制約を受け、代々一族は所属する神々に忠誠を誓うように『創られて』いた。
熊野一族や出雲一族等も、そんな貴種の一つであった……

出雲一族は西の護りとして出雲大社を守護する役目を担っているが、数十年前から新たな使命を受けていた。
それが集落の外れにある鎮守の杜の中の『龍塚』の守護である。

そんなある日……その日の龍塚の掃除当番は、雨宮家当主の娘である雨宮紫穂であった。

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