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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 19

「うん、瞳のおっきな声がしたから、何かなって」
「………なら、分かっただろう?俺は………」
「………それでも」
理人の言葉をリィナが遮った。
「それでも、私はアンタが好きだよ。例え、アンタが私の両親を殺したにしても、今まで、アンタの事を見てきたから。無愛想で危なっかしいけど、根は優しくて、人間らしいアンタを見てきたから」
「………違う!俺は人間じゃない!見た目はそうでも、中身は脳手術、投薬、遺伝子治療による骨格強度、治癒力、身体能力の強化、感覚の鋭敏化で化け物になっている。感情も無い!それでも、人間だと言うのか!?」
リィナの言葉に理人は激昂する。
「理人、兵器は羨んだりしない。罪悪感を感じたり、自嘲したりしないよ」
「……………」
「それに、理人は私を助けてくれた。どうして、助けてくれたの?」
微笑んで、リィナは問う。
「それは………お前が、助けて、と言ったからだ………」
「そうよ。私は助けてと言った。けど、普通、兵器は助けてはくれないよ。私を助けたのが、アンタが兵器じゃなくて、人間だ、って言う証拠じゃないかな?」
「………フフフッ………ハハハハハッ!!」
突然、理人は笑いだした。腹を抱えて、目尻に涙を貯めながら、大爆笑し始めたのだ。
「り、理人?な、何がおかしいんだ?」
心配になった剣護が話しかける。
「滑稽だ!余りに滑稽過ぎる!!俺は馬鹿か!?既に手に入れている物を、欲しがって葛藤していたんだ!!これ程滑稽な事はない!………俺は人間だ!!もう、殺戮兵器じゃない!!!」
涙を流しながら、そう叫ぶ理人を、リィナはただ抱き締める事しかできなかった。


それから、数週間が過ぎた。
理人はまだ若干喋り方が堅かったりなどの癖が抜けないものの、大分人間らしくなっていた。
………だが、悲劇は確実にその足音を大きくしていた。
…戦況は悪化。理人らにより大打撃を受けていた敵本隊の再編成が整った上、幾つかの傭兵派遣グループがこの戦闘から手を引いてしまったのだ…。
若い傭兵が旧式のブローニング機関銃から砂を落としながらぼやく。
「やべぇよなあ…やたらと斥候がウロチョロしてるし…。」
相方の弾薬手が相槌を打つ。
「今泉製薬の連中も手ぇ引くらしいぜ?実験体が反乱起こしたとかで…?」
「薄気味悪い連中だったけど、どーでもいいゲリラ戦はあいつらにお任せだったよなぁ…。」
傭兵たちの士気は明らかに低下していた…。

それと時を同じくして、ハールーン王国・首都シャリアンの『ミネルバ』の駐屯地。
二人の男が話していた。
片方は口髭をたくわえた太めの初老の男で、正に『狸』な感じである。
反対にもう一人は少年だ。金髪を無造作に伸ばした髪型をしており、眼には危険な光がある。
「分かっているな、ゴルドー。もうすぐハジサドは反撃に転ずる。それまでに、裏切り者を消せ」
「あぁ、言われ無くてもな!彼奴さえいなければ、俺は………!!だが、もうすぐだ、もうすぐ俺は最強なる」
ゴルドーと呼ばれた少年は狂気な笑みを浮かべて、部屋から出ていった。

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