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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 18

「ちょっと理人。いい加減謝って仲直りしなさい」
「………必要ない」
「あんたねぇ、リィナさんの気持ちも考えなさいよ!リィナさんはあんたが好きなのよ!なのにあんたは!!」
「………知っている。だからこそ、俺はあいつといることはできん」
「ど、どういう事よ?説明しなさい!」
「………拒否する」
理人のあしらいに瞳の堪忍袋の緒が切れた。おもむろにライフルを取り出すと、理人につきつける。瞳の悪い癖だった。
「いい加減、吐かないと頭吹っ飛ばすわよ?」
「理人、悪いことは言わんから正直に話せ。瞳ならやりかねん」
様子を見ていた剣護も見て見ぬふりは出来なくなった。
「………俺にはあいつに好意を抱かれる資格は無い」
おもむろに理人は、その重い口を開いた。
「どういう事よ!?恋愛に資格なんて要らないわよ!リィナさんはあなたに好意を抱いてるんだから、それで良いじゃない」
「………その好意は、俺に抱くべきじゃない」
「何でだ?」
「そうよ、何で!?」
「では、聞くが、好意を抱く相手が、両親の仇だと知っても、お前は好意を抱き続けられるか?」
一瞬、剣護と瞳は、理人が何を言ったのか分からなかった。
「な……何を言って………」
「言った通りだ。………俺があいつの両親を殺した。難民キャンプもろともな」
「「…………………」」
あまりの衝撃に二人は声が出なかった。そして、暗い空気がたちこめる中、二人の後ろにある気配には誰も気付かなかった。
理人は直も話しを続ける。まるで懺悔をするかのように。
「あの日、まだロイヤル・ハリビアに所属していた俺は難民キャンプの殲滅を命令された。理由は簡単だ。旧王国軍の兵の大半が難民出身だからな。夜、俺はテントに火を放ち、逃げ惑う難民たちに銃弾を撃ち込み、爆弾を投げつけた」
理人の顔が苦々しいものに変わる。
「………俺は、皆殺しにした後、証拠隠滅の為に自決するはずだった。ついでに王国軍の仕業に見せかけるために、王国軍の軍服を着た………。こめかみに銃口を突き着けて、引き金を引こうとした、その時、あいつの声が聞こえたんだ」
「リィナさんか……?」
「………あぁ。大怪我を負いながら両親や難民の名を呼んでいた。俺が近付くと、俺に助けを求めたんだ。自分を酷い目に会わせた俺に!………その後の行動は、自分で自分を疑うものだった。リィナを抱えて、この基地に来たんだ。軍服が同じだったから、簡単に向かえいれられた」
自嘲気味に理人は笑う。
「俺が敵だと言うことを言っても、簡単に受け入れたここの連中も信じられなかったがな。………三日ぐらい過ぎて、あいつは目を覚ました。俺が会いに行くと、何度も泣きながら礼を言うんだ。………それからと言うもの、あいつは俺に世話を焼くようになった。会うたびに、自分に欠けている物が見えてきていた。羨ましかった、人間が。………でも、俺は人間には、なれない」
「………そんな事無いわ」
突如、リィナが剣護たちの後ろから現れた。お決まりだが、さっきの気配はリィナである。
「………り、リィナ、聞いて………いたのか?」

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