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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 17

「傷は完治してるのよ。多分、限界近くまで酷使した身体が休んでるんだね。明日ぐらいには起きると思うけど………こう見ると、やっぱり子供ね」
そう言って、リィナは理人の髪を撫でる。相当深く眠っているのだろう。本来の理人なら飛び起きて、ナイフを構える。そんな理人の寝顔は年相応の少年と変わらない顔だ。
「本当に、銃持って戦争しているのが、嘘みたい………。」
理人を見るリィナの顔は慈愛に満ちていた。
「ねぇ、リィナさんは理人の事、好きなの?」
そんなリィナの顔を見ていた瞳が唐突に質問した。
「え?そうねぇ…………好きだなぁ。私は、理人の事が大好きよ」
さも当然のように、リィナは言った。
「多分、初めて会った時から好きだったなぁ」
「難民キャンプで助けてもらった時?」
「………そう、あの時、私は死を覚悟した。周りは炎で包まれてた。父さんと母さんは、読んでも答えなかった。そんな時に、理人が私の前に現れたの」
「コイツが人助けねぇ」
「剣護、理人が助けてくれなかったら、私はここにはいないわよ」
いぶかしむ剣護をリィナは睨んだ。
「まぁ、私だってすぐに気絶しちゃって、気が付いたらここに寝かされてたけどね」
苦笑しながら、リィナは煙草を灰皿に捨てた。
「だから、………理人が好きだから、理人が死んじゃったら、私は生きてられない………」
「………何を下らない事を」
「理人!?」
声のする方を見ると、理人が起き上がっていた。
「大丈夫!?体に変な所はない?し、心配、したんだから!!」
「………異常はない」
泣き始めたリィナを一別すると、理人は外に出ようとする。
「あ、だ、駄目よ!まだ……寝てなきゃ!!」
「…………リィナ、俺にかまうな!」
「………!?」
冷たくあしらわれ、呆然とするリィナを置いて、理人は出ていった。
「あっ!?こら、理人!リィナさんに謝れぇ!!」
「わぁ!?待て、瞳。こんなとこで銃を出すな!!」
「だって!!今の聞いた!?心配してくれてるリィナさんに『かまうな』よ!?銃殺ものよ!!ねぇ、リィナさん!!」
「………知らない!」
瞳がリィナに同意を求めると、リィナは肩を震わせて呟いた。
「え?」
「もう、理人なんか知らない!!理人なんて、だぁい嫌いだぁ!!!」
リィナの叫びが辺りに木霊したのだった。
それからというもの、理人とリィナの関係はすこぶる悪かった。理人はリィナを避けているし、リィナも理人の治療だけは他の医者に回していた。一度だけ、リィナが治療した事があったが、口を聞くどころか、目すら合わせようとはしなかった。
そんな二人の板挟みにされて、困っているカップルが一組。言わずもがな、剣護と瞳である。
日々、二人によって精神を削られ、耐えかねた二人は事の原因である理人を問いつめることにしたのだった。

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