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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 16

「けっ」
ふてくされる剣護を放っておいて、理人は話を進める。
「最後に、俺が囮になる。正面に誘導するからな」
「囮……」
「砲頭の回らないスクラップの戦車だからな。確かに、正面に誘導しなきゃなんねぇな」
「そういうことだ。では、俺は行くぞ」
そう言って、理人はハインドが遠ざかったのを見計らって出ていこうとする。それを、剣護が止めた。
「理人、お前の事だから心配は無用だろうが、気ぃつけてな」
「死んだら、リィナさんに呪われるわよ」
「………………」
なにも言わず、理人は出ていった。


数分後、ハインドの機銃の音が木霊し始めた。
「始まった!剣護、準備はいい?」
「ああ!!頼むぜ、理人!」
戦車の中は、戦意旺盛だった。


一方、理人は……
「くっ!!」
俊敏な動きでハインドの機銃をかわすも、徐々に追い付かれ始めていた。ハインドは理人で遊ぶかのように、わざと速度を最小限に落として、理人を追いたてていた。
「……見えた!……ぐぅ!!!」
突如、理人はその場に倒れてしまう。
「理人!!えぇい、剣護、今よ!!」
「堕ちやがれぇ!!!」
瞳の合図とほぼ同時に、剣護は引き金を引く。
銃口から飛び出した特大の弾丸はパイロットごとエンジンを貫き、ハインドは空中で四散した。


「理人!!」
ハインドの残骸の向こう側に理人は倒れていた。
「理人、大丈夫か!?………うっ!?」
剣護が抱き起こした理人の右胸は血に染まっていた。たった一発だったが、理人の右胸を貫いたのだ。
「くそ!!どうする!?」
「剣護、あれ!」
グッドタイミングと言うべきか、瞳の指さす先に、迎えのヘリが現れた。
リィナからもらった医療パックで応急処置を受けたあと、理人はヘリで運ばれ、病院で緊急手術を受けたのだった。
…軍病院施設…

理人の病室。涙も涸れ、疲れ果てた瞳にコーヒーを差し出す剣護。
「理人の処置は間に合ったってよ…お隣りさんは…あの調子だが。」
うさん臭い連中が慌だしく出入りしている。『今泉製薬』DNA操作やドーピングで肉体強化した少年少女達を戦場に送り出してきた民間企業…。
『実験体108と109はリサイクル可能です…。』
『意識が戻り次第、編成に加えろ…。』
彼らのやり取りに嫌悪の表情を露にする剣護だったが、何事もなかったかの様に寝息を立てる理人に表情を和らげた。

それから二週間が過ぎた。
理人は強化された治癒力で驚異的な回復を見せ、三日前に退院。そのまま、ベースキャンプに戻った。しかし、以前として、目を開ける事は無く、眠り続けていた。
「起きねぇな」
「このまま起きない、って事も有り得るの?」
ベッドで眠る理人を見ながら、剣護と瞳は疑問をリィナにぶつけた。
理人が怪我をした事を知ったリィナはその日の内に病院に飛んで来た。酷く取り乱して、剣護と瞳は落ち着かせるのに苦労したものだ。
それ以来、リィナは仕事の合間を縫っては理人の元に行き、退院してからは理人の看病を一人でしていた。

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