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香港国際学園〜外伝〜
官能リレー小説 - 学園物

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香港国際学園〜外伝〜 101

瞬間、たしかに無くなっていた拳が何事もなかったようにそこに在った。
「やっぱり、といった表情だね。うん、正解だよ、それが僕の能力の真骨頂の一つだ。そして…」
そういいながら少年の頭を軽く掴んだ。
「これが僕のしてきたことと目的だよ」
青年の言葉とほぼ同時に少年の頭の中に大量の情報が流れ込んできた。
各地の戦場を渡り歩き人を救っている女性医師とその傍らでその女性を守っている青年の姿
都会のビルの間で一振りの刀を抱え力尽き死んでいる少年の姿
薄暗い空間で荒縄に縛られ動かない黒竜の姿
学園でラブコメのように女性に追いかけられいる少年
様々な映像が駆け巡る。
「……!?」
最後に異形と化した人間に囲まれ必死に一人の女性を守ろうとしている目の前の青年の姿が移った。
その瞬間、少年はこの青年のしようとしていることと青年が決めている覚悟と結末を理解した。
「『ありえた未来と過去』…すべてを踏み台にしてまで世界を救ってお前の最後はそれで満足なのかよ…」
少年が絞り出すように呟いた。
「どこかのだれかの未来の為に、僕がその礎になれれば結構。だから僕は犠牲にしてきた人達の為にも『星産み』を絶対阻止する。結末なんて興味はないよ」
青年の言葉を聞いた瞬間少年が青年の両肩を叩いた。
「…手伝ってやる」
「あら、僕は君の仇だよ?」
「そんなものチャラだろうがよ…それでも嫌だってんなら勝手に手伝うぞ」
少年の言葉に青年がため息をついた。
「年齢的にバイトは出来ないけど、お手伝いはノープロブレムだったかな?」
「おいくらほど、いただけるんで?」
青年の軽口に、珍しくふざけた芝居口調で少年が切り返した。

「んー?」
青年は暫く黙り込む、まだ疑念を感じているのか、それとも本気で『お手伝い』の駄賃なんぞ考えているのか。
いや確かに駄賃は冗談としても少年への代替、見返り、利害関係、単なる義侠だけで連れて行く訳にもゆくまい。

「…数年後、僕は計画の為にこの学園に入学する」
青年が呟く。
「それまでに僕が納得するほどの力をつけていたなら正式に手伝いをおねがいしましょう?」
青年の言葉に少年が真剣な顔で答える。
「期待…させてもらうよ」
青年が軽く笑う。
「おうよ」
少年がグッと力を込め返事をした。
その時だった学園の前方の空間に巨大な陣が現れそのなかから巨大な『庭園』が出てきた。

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