普通の高校に女子限定クラスができた理由 90
愛と礼は座ったまま少しずつ部屋付属の浴室へと移動していき、愛はその扉を開けた。
脱衣所も、曇りガラスの向こうの浴室も、外から少し光が入ってぼんやり明るい感じだった。立ち上がって照明をつけようとする礼を、愛は制止した。
「このくらい暗いのが、ちょうどよくない?」
「そうかな?」
「ほら…最初は、ちょっと恥ずかしいし…」
愛は少し照れ気味に礼の方を見た。
「でも、向こうは堂々とやってるでしょ。それに、これが最初で最後じゃないと思うし」
礼は愛に優しく囁く。
「でも、今は興津さんの好きな風でいいや」
「愛、って呼んで」
「えっと……愛、ちゃん?」
「ふふっ」
愛は、ちょっと笑った流れのようにタンクトップの下着を一気に取り去った。
薄明かりのなか、きれいな胸が浮かび上がる。
思わず目をそらす礼。
「眼をそらさなくていいよ」
その言葉に礼は少しずつ顔を上げる。
「でも、これは…ちょっと恥ずかしいから、小坂く…ううん、礼君、脱がせて」
愛は、愛の最後の一枚となったパンティーを片手でつまみながら、そう言った。
「うん…」
礼は愛に近づく。お互いに手が届く、息が触れるほどに近くなった。
緊張で手が震える。ただ脱がすだけなのに、こんなにドキドキするものなのかと、礼は思った。
「ドキドキする。私も」
「うん…」
指先にパンティの端を持った感触。そのままスッと一気に下す。
礼はぎこちないながらも愛の身体を抱きしめた。
愛の温もりが、礼の全身にすぐに伝わっていった。礼にとってさっきからの予想しにくかった事態に一度萎えていた部分は、ここで改めて膨張し、その先は愛の肌に、トランクス越しにだが触れた。
礼は、直前に見た直樹と奈津美を参考に、自らの唇を愛の唇に付けた。