普通の高校に女子限定クラスができた理由 81
夕食は参加者全員で、一つの場所で固まって食べた。
この時は班ごとではなくクラスごとに分かれてだったので、8組の女子生徒たちは自由行動がどういう風だったか、お互いに情報交換しあっていた。
夕食後に改めて雅人はクラスの男子に光一に伝えたことを全体に告げた。光一は礼と直樹を連れ、恋たちのいる部屋に向かった。
光一がその部屋をノックした。
「何?」
恋が冷たい声で言いながらドアをあける。礼と直樹はその声に一歩下がる。
「恋、そんな冷たい声しなくても…」
奥の方から愛の声が聞こえたので、光一は勇気を出して言った。
「ええと、いや、もう少し、親睦を深めたいと思って…」
恋の冷たい言葉に、光一はしどろもどろになりながらも言葉を続けるが、恋の反応はつれない。
「親睦って…さっき一緒に回ったじゃない」
「いや、それだけじゃなくて、もっと…」
恋は冷たい視線で男子3人を見つめる。隣の奈津美も怪訝そうな表情だ。
「まあまあ、3人ともこっち来て座って。来てくれてありがとう」
そんな中で、笑顔で迎えてくれた愛が、彼らにとっては救いだった。
それでも男子三人は、先生の言葉に来てみたものの、本当に来てよかったのか不安ではあった。
朝聞いた噂話も今は頭の奥の方にしまってあった。
微妙な空気を何とかしたいと考えるのは昼間に続いて愛の役割になった。
「ねえ、トランプやらない…大富豪、とか…」
愛がカバンの中からトランプを取り出した。
「イイね、やろうやろう」
直樹が努めて明るく振る舞う。
この状況をいい方向に持っていこうという彼なりの考えだ。
「恋となっちゃんも」
「うん…」
「仕方ないなぁ…」
しばしトランプを囲んで親睦を深めようとする。