普通の高校に女子限定クラスができた理由 72
愛がニコッと微笑んで、少し場が和んだ。
フルーツタルトは2つのタイプがあったので、愛と奈津美がそれぞれ別のものを注文する形で3つの品を頼んだ。
「8組って、どんなクラスなの?」
直樹が女子3人に尋ねる。
「女の子ばかりってだけで、特に変わんないよ。まあ、結構楽しいけど」
恋が言う。
「なんか、こう聞いていいのか分からないけど…女子クラス独特のノリとか、ってあるの?」
三人の女子は一旦黙って考えた。
「例えば、更衣室の位置関係から、更衣室行かないで教室で着替える子がいたり…とかそういうこと?」
恋が淡々と言う。
「うーん……まあ、それもあるかな…」
恋の冷たい視線と言葉に直樹は口ごもる。
最初に会ったときもそうだが、3人の中で恋が一番取っ付きにくい、男子3人の考えは同じだ。
「女子ばかりでもノリはそこまで変わらないのよ」
少しでも空気を明るくしようと愛が語りかける。
「だから、あんまり女子クラスの子なんだ、とか意識しないで気軽に話してほしい」
恋はそっぽを向いているが、全体的には空気は和んだように他の五人には思えた。
「んー、甘くてすごく美味しかったあ」
タルトを食べ終わって奈津美が笑顔を見せる。
男子と対面して初めて見せた自然な笑顔かもしれない。
(やっぱり可愛いな)
礼はそんな奈津美の姿を見て頬が緩む。
夕方まであちこちを散策して、彼らも宿泊施設に戻る。