普通の高校に女子限定クラスができた理由 71
愛は会話しながらも、他の四人があまり楽しそうでないことが気になっていた。
「ねえ、恋、奈津美、柘植君、三宮君、ちょっと食べていかない?菓子作り体験コースまでちょっと時間ありそうだし」
「そうね」
恋が応じ、六人は喫茶スペースのようなところに座った。
女子と男子がちょうど向き合うような感じになり、それぞれがメニューのボードを眺める。
「これが美味しそうだね」
「うん」
甘いもの大好きな奈津美は瞳を輝かせるが、男子の視線が気になったのか一瞬でおとなしくなってしまう。
他の男子二人も、重い空気を変えたいことは同じだった。
「直樹、礼、何食べる?」
光一は率先して他の男子に注文を促した。
「君、えっと、柳井さん、さっきおいしそう、って言ってたの、どれ?」
直樹は前に座っている奈津美に尋ねた。
「んーと、このフルーツタルトかなぁ」
「ちょっとなっちゃんが食べるのには多いんじゃない?」
隣の恋がメニューを覗き込む。
「じゃあ、2人で一つにする?」
「俺もその方が…甘さ控え目のやつとかないかな…」
光一がメニューを見ながら言う。
「あずきタルトとかは」
恋がやや低い声で提案した。
「いいね。紺野さん、二人で一つにしない?」
光一は恋に持ちかける。
「6人で3つとかでもいいんじゃない?愛ちゃんは何食べたい?」
「迷うね。でも6人で3つ賛成」