普通の高校に女子限定クラスができた理由 61
「三宮 直樹です」
「小坂…礼 です」
直樹は三人に明るく普通に挨拶した。礼はやや視線をそらし、おどおどしたような挨拶をした。
愛は礼の近くに行く。
その時
「皆さん集まれたようですね。では、ホテルの部屋に荷物を置いて、各班出発してください…」
全体へのアナウンスがあった。
各自部屋に荷物を置きに行く。
あてがわれた部屋は結構な広さがあった。恋たちはそれぞれ荷物を置くと再び外に出る。
これから夕方まで班ごとに周辺を散策する、ということになっている。
「何かプランは決まってます?」
愛が光一に尋ねた。
光一は一瞬なんと応えていいか迷った。
実は、愛がさんざんお菓子体験施設の話をしていたのでそこで一日過ごすのだろう、と勝手に判断していてそれ以外のことを考えていなかったのだ。
「あの、言ってた『スイーツの城』って、僕たちも、面白そう、って思って、そこで一日過ごすでもいいかなあ、と思っていまして」
愛の顔が輝いた。
「えっ、ほんとにいいんですか?」
「うちの方にもスイーツ好きの男がいましてね」
「お、おい、直樹…」
直樹が礼を愛の目の前に押し出す。
「男の人にそういうのがお好きな人がいると嬉しいです」
「あ、いや、その…まあ」
愛と3人の男子の会話が弾み、プランは決定した。
水泳部の桃子と智里、バレー部の亜優は、水泳部仲間の知宏、バレー部仲間の大田崇央と藤掛健人と班を組んで、この辺を見下ろせるちょっとした丘の頂を目指して林の中を歩いていた。
休日なら人通りも多いコースだが平日のこの日はこの6人以外には前にも後ろにも人の気配はなかった。
「なあ、知宏、水泳部ってけっこうヤりまくりなんだって?」
健人が女子の眼もはばからずに質問する。
「…ああ、おお。プールの更衣室、実は中で壊れてて、つながってるんだ。それつかって、練習後にちょっと」
「まだ学校のプール使ってないんじゃないのか?」
「使ってないけど、水泳部の領土みたいなところはあってね…バレー部はどんななんだよ?歓迎会後は?」