普通の高校に女子限定クラスができた理由 58
「レンちゃん、おはよう」
「おはよう、なっちゃん」
校門を過ぎたあたりのところで、奈津美が恋の後ろからやってきた。
「なっちゃんは、不安?」
「うん………先生はあんなこと言ってたけど、男の人が私たちのこと、どう思ってるかわからないから…」
「愛ちゃんは、あったんだよね。その男子たち」
「うん、逆に、愛ちゃんしか会ってない」
「なんか言ってた?」
「その話、あんまりしてないんだ」
二人が愛と合流したのは教室に入ってからだった。
「おはよう」
「「おはよう」」
二人は愛が座る席の近くに寄った。
「愛ちゃん、さ、今度の合宿で一緒になる男子と会ったんだよね」
「うん」
「どんな感じだった?」
「とってもいい人たちだったよ。一人は私と趣味の合う人で、話も弾んだの」
「へぇえ…料理好きな男の子っているんだ」
愛はにこやかに話してくれた。
それに、幾分不安は拭うことができた恋と奈津美。
「マジなのか?」
「そんな噂があるのか」
直樹と礼は光一と同じ班になっていた。宿泊研修の日、教室に集まったとき、光一は「8組の子はヤラせてくれる」という噂がある、と二人に披露した。
「運動部の奴らの中に、そういうことを言っている奴がいる」
「マジかよ」
「可愛くてやらせてくれる…マジで最高じゃないか」
「おい、直樹、お前そんな理由で…」
「この噂は全クラスに広まってるだろうからな…あんまり期待するなよ」
光一は直樹に釘をさすように言う。
「でも、光一だってこんな可愛い子なら絶対やりたいだろ」
「…………」