普通の高校に女子限定クラスができた理由 50
「わかんない……でも、このまま行くと、私たちが彼らの相手をする可能性は高いと思う。もちろん、その時は、無理やりじゃなくて、こっちからも、してあげたい気分ではいたい…」
恋はかすみを気遣うように言った。
「ごめんなさい、紺野さん」
「いいよ、誰だって気になることだから」
やがて、泉の口は奥村から離れていき、口の中のものを飲み込んだ様子は周りからも分かった。奥村はうつむいて、誰とも目を合わせないようにしていた。
「ほんと、私のせいで、ごめんね」
泉は改めて、恋、かすみ、優に向かって言った。
「先生は悪くありません。私たちの、自慢の担任の先生なんです。これから一緒に、どんな困難が待っていようと、乗り越えていきましょう」
「紺野さん…」
恋の力強い発言に、思わず感極まった泉。
泉は服を着なおし、恋たちと一緒に他の生徒がいる場所へ戻る。
しかし様子がどこかおかしい。
「どうしたの?」
「大変だよ、なんか変なオッサンの先生が来て、連れてかれた子がいるんだ…」
ちなみが恋に言う。
「ええっ、誰?」
「凛音ちゃんと柚月ちゃん」
恋はみなを見渡した。確かに、その二人がいない。
「「先生!」」
その場にいた生徒たちは一斉に泉を見て口々に状況を言う。
「みんな、落ち着いて。これは、予定していたことだから、大丈夫」
「予定って」
「ホントに大丈夫なんですか!?」
困惑の表情を浮かべたり、今にもパニックになりそうな者もいる中、泉は周りに落ち着くよう促す。
「みんなに言わなきゃいけないことがあるの…私の、昔の…」
泉は先ほどと同じ話を、クラスの生徒の前で話した。