普通の高校に女子限定クラスができた理由 48
奥村はその言葉に狼狽する。
泉は言葉を選びつつ、大きくため息をつき少し疲れの残る中で話し出す。
「さっきの人たち…私が学生の頃から知っている先生です。私が何人もの男性と関係を持ち、お小遣い稼ぎのようなこともしていたことを、知られてしまいました」
泉の話の途中で、恋が目を覚ます。
泉は、それに気づかず、奥村に話し続ける。
「生徒指導室で何人もの先生に囲まれ、さっきいた一番年配の、井田先生に『先生たちの言うことを、なんでも聞いたら、学校生活 続けられるようにしてやろう』のようなことを、言われたんです」
「それでこんなことに…でも、生徒を巻き込むことはないはずでは」
「私も最初はそう思ってました。でも…」
泉は俯いて、話を続ける。
「女子だけのクラスができて、私が担任を任されました。その時に示唆されたことがあるんです。このクラスは、校内の男の性欲処理に使う、って」
「そんな、ひどいこと…」
「奥村先生、ひどいこととは、限らないんです」
奥村と泉は声の主の方向を見た。恋だ。
「紺野さん、聞いていたの?」
「はい…私達を性処理に使うって、もちろん、喜んで、と言うわけではないです…でも…正直言うと、気持ちいいことでも、あるんです」
「紺野さん…」
「だから、そういうことでしたら、少なくとも私は、先生の負担が減って、男の人たちが満足するなら、それはそれで応じていいのかなあ、と思います」
そういう恋の顔には、悲しさは見えず吹っ切れたかのような笑顔もあった。
「私自身は、望まない形で初めてを失って、それで1年間心の傷を癒すために…高校生になるのは1年遅れてしまいましたが、今はそれでよかったと思ってます」
奥村は黙ってそれを聞いていた、が
「奥村先生、興奮されてます、よね?」