普通の高校に女子限定クラスができた理由 172
奈津美のスマホには、直樹から何通かのメッセージが来ていたが、奈津美は何と返事しようか決めかねていた。
今は、眠くなった。車内の多くの人も眠く、そのあとの会話を継いだ人はいなかった。そして半分以上の人は眠って、気づいたら学校近くまで来ていた。
次の登校日。
8組のホームルームで、泉は職員会議で指示された内容を連絡した。
「ええ、今日から、着替えは教室でやってもらいます…更衣室のロッカーを教室に移します」
書類には”8組の過半数の生徒が、男性の前に体を晒すのに耐性を得たと思われるため”のようなことが書かれていたが、泉はもちろんそこは読まなかった。
8組の生徒たちも誰も反対意見を述べる者はなく、その日の体育の授業から教室での着替えは実行された。
大したトラブルは起こらなかった。
授業後、水泳部の桃子と智里は部活に参加する為プールに向かう。
「合宿お疲れ様」
着替え中に日菜子がやって来て、彼女も水着に着替える。
桃子と智里が水着に着替えて更衣室から出ると、男子水泳部の岩上、下田や、知宏も更衣室から出てきたところだった。互いに、挨拶する。
そして皆、市民プールで泳ぎ始めて、休憩時間。
「今日は学校のプール戻る?」
日菜子が桃子と智里に聞いた。
「もちろん行きます。智里も、来るよね」
学校のプールに戻るとは、学校のプールの、今は水泳部専用の、間に穴が空いて互いに行き来できる更衣室に入って「交流」することを意味する。
「ああ……うん、行くよ」
「じゃあ、もうひと頑張りしましょうか」
「はい!」
そうして、再びプールに入って泳ぐ水泳部員たち。
岩上の合図がかかるまで練習に打ち込み続けた。
練習を終えた桃子と智里は日菜子たち数人の先輩とともに学校のプールに戻る。
誰かの目があるかもしれない更衣室の前までは男子部品と女子部員は目を合わせることなくそれぞれの更衣室に入る。
そして、扉を閉め、皆待ちかねたように一気に裸になる。
桃子も智里も、最初は戸惑っていたが今はもう先輩方と同じような脱ぎっぷりになっていた。
ほどなく、両更衣室間に空いた穴…一般生徒も使う時期はロッカーの裏に隠れている…から、4人の男子部員がやってくる。彼らも、もう裸だ。こちらも桃子、智里、日菜子、梨沙子の4人。彼らはそれぞれ男女間全員と代わる代わる抱きしめ合ってキスする。