普通の高校に女子限定クラスができた理由 155
「わ、わかった。開けるね…」
綾音が恐る恐る浴室のドアを開いた。
音は立てずに、ばれない様に…
「……!!」
少しだけ扉を開けて、伺ったその先では、信じられない光景が広がっていた。
「はむっ。んっ。う、ああっ!」
3人の男子に囲まれる亜美羽。
男子の一人は亜美羽の背後に回り彼女の胸を揉む。
一人が正面に立ちそこに亜美羽が顔を突っ込んでいる。
亜美羽の片手にさらにもう一人の男子のモノが握られていた。
女子二人はその光景を見て、綾音はすぐに扉を閉めた。そして綾音は顔を真っ赤にしてその場に座り込む。
杏南はうつむいて立っている。
扉の向こうは、巧も女子達のうしろからちらりと見た。こんな、AVのような光景が広がっているなんて想定していなかった。一瞬、高みの見物を気取って自分が参加していないことを悔やんだ。
「ねえ…これって、8組の運命…に、関係あるのかな」
巧は、一度捨てた仮説を言ってみた。何と言っていいのか分からなかったから。
「8組の、運命、って?」
杏南は下を向いたまま応えた。
「噂話で聞いただけだから、本当なのか分からないけど…」
「言ってみて」
巧は、通常だとそんなことを発声することは考えられなかったが、あの光景を見たあとだったので、比較的すんなりとそのフレーズは口から出てきた。
「8組の生徒は、校内の男の性欲処理を、やらなきゃならない、っていう話…」
言ったところで巧は2人の表情を伺って、「すまない」と一言続けた。
「気分を悪くさせてしまったらごめん」
「ううん、大丈夫」
「それ、うちの先生からも聞いた…先生がここの生徒だった頃にいろいろあって…って」
「そうか」
杏南は下を向いたまま続ける。
「私は、その話、気にしないようにしていた…でも、クラスメートが次々先生に、っていう話も、聞いた。それより、同じ校内でも男子生徒となら、やられるんじゃなくていい関係が作れるかもしれない、みたいな考えも、あって」
杏南は顔を上げて巧の方を見た。
「私、広瀬君だったら、いいかも」
「それは、本気で言ってる?」
突然自分なら、と言われ巧はドキッとした。確かに興味はあったしそれ目的で作戦を練ったというのもある。しかしいざ言われると不安と疑問が生じてくる。
「無理矢理とかただ捌け口にされるより、お互いが望んでそうなったらいいと思う。亜美羽だって嫌がってやってることじゃないはずだし…少なくとも私にはそう見えた」