普通の高校に女子限定クラスができた理由 15
「あぁ、なっちゃん、実はね、これ」
愛は奈津美にも同じ画像を見せた。
「うわぁ、可愛い!それに美味しそう!」
「でしょう」
「誰が作ったの?愛ちゃん?」
「違う違う、実はね、これは…」
「へぇ、男子でもこういうお菓子作るの得意な人がいるんだねぇ」
「ちょっと気になっててね、この人会ってみようかな、ってちょっと思って」
「そうだねー」
愛と奈津美がそう言う中、恋はあせった。この流れだと、すぐ会うような意見が多数決で勝ってしまう。
恋は、考えた言葉を投げかけた。
「ねえ、このアプリ、アプリ内でやり取りする機能があるんでしょう。やり取りしてから会っても遅くないと思わない?」
「あー、そうだね。私が返事送ってもいいかな?」
「うん、それは愛ちゃんに任せるよ」
恋は愛と奈津美に気が付かれないところで、一つため息をした。
すべての男に問題があるわけじゃないけど、まだ心のどこかに抵抗感があった。
愛も、奈津美も、会ってみたいとは言うけれど…
チャイムが鳴り、次の授業が始まる。
泉が教室に入ってきた。
泉は、ちょうど愛が宿泊研修の班決めアプリを閉じるところを見た。
「宿泊研修の班、どこと組むか決まりそう?」
一様に、まだ、という反応が広がる。
「先生、先生のときは共学クラスだったのですよね」
後ろの方から声が上がった。
「うん」
「班ってどんなふうに決まったんですか?」
「最初は、クラスの女子の中でいくつかの班ができた。その後で、クジ引きで一緒に組む男子の班が決まった…かな。私たちの頃はあんまり不満が出たことはなかったけどね」
「そうですか」
「そのとき仲良くなった男子と付き合った子もいたはず。これはあまり関係ない話だね」